周辺暮らしのロケンロール

関東を中心に活動中のごちゃまぜロックバンド、五十嵐正史とソウルブラザーズの公式ブログ

ロケンロールライフ624 

2015/12/16
Wed. 23:41

先日明治大学生田キャンパス内で、陸軍登戸研究所の史実を元にした朗読劇「ヒマラヤ杉は知っている」に参加した際に、大学内の書籍で購入した本“陸軍登戸研究所の真実”を、毎晩寝る前に衝撃を受けつつ読み進めている。

著者の伴繁雄氏は、戦時中登戸研究所で秘密インキで書かれた文書の解読法の開発や、細菌兵器の開発に携わった科学者で、戦後長い間、登戸研究所で自身が何をしていたのかを語らずにいたが、晩年5年をかけてこの本を書き上げ、その直後に87歳で急逝した。

3年前から登戸研究所資料館に通うようになり、今年から朗読劇にもギター奏者として参加し、今月劇の内容を基に「ヒマラヤ杉は知っている」という歌まで作ったぼくは、底知れない興味と関心を登戸研究所に抱き、もっと深く知りたい気持ちでいっぱいになってしまった。
資料館の展示や2回の朗読劇を通して疑似体験した、庶民の生活が戦争に組み込まれ利用され、いつしか秘密戦の加害者にされて行く過程は、現在この国で生きて行く問題としてまったく古びていない今日的テーマであるし、それは日本人が戦後いっかな克服してこなかった心性でもあるとぼくには思えてならない。この国を知り、未来を考える上で大切な鍵が、この登戸研究所にある気がしてならない。

戦時中登戸研究所で科学者として働いた伴氏は、仕事内容も良く分からずに徴用された市民に比べて自身の仕事に自覚的であり、その目的から手法まで驚くべき正確な記憶で書き綴っている。その正確さ几帳面さ(例えば細菌兵器を化合した際の化学式や実験の成功から失敗までの詳細なデータ)は読んでいて怖いくらいで、常軌を逸しているとさえ思えてしまう。

それに比して、抒情的心情を吐露するような表現は極めて少ない。そんな文章を連夜布団の中で読み、たくさん出てくる薬品名等に少し退屈しかけた頃に、突如「人体実験のため南京に出張」という章が出てきてドキリとさせられた。
淡々と、しかしやはり正確に出張の日時と行程を記述し、登戸研究所で開発した青酸と溶剤のアセトンに炭酸カリを加えた、無色無味無臭の毒薬青酸ニトリールを、関東軍のあの731部隊の協力の下、中国軍捕虜や死刑囚15~16人に対して投与し死に至らせる様子は寝床で読んでいても悪寒を禁じ得なかった。
その章の最後に伴氏は、“戦争の暗黒面としてこれまで闇の中に葬り去られたきたが、いまこのいまわしい事実を明らかにしたいと書き綴った”と書くのだが、ぼくはこの押し殺したような執筆の動機を語った一文に伴氏の命がけの思いを感じた。読んでいて退屈になるくらい詳細な研究内容等の記述は、この本の内容が歴史の証人たりうる資格を持つために必要不可欠なものであったのだ。悔恨の念をひたすら書き連ねるより、これほど正確な筆致で執筆当時から40年以上前の事を詳細に記してある方が、思いの強さ激しさを感じさせ、何より50年経っても伴氏の中にあの登戸研究所でのことが鮮明に残っており、そのことに苛まれていたのだと思えて来る。

日本が二度と戦争を起こさないために本当に必要なことは、加害者としての戦争を知ることだと登戸研究所は教えてくれる。

18日には稲城市の城山文化センターで、朗読劇「ヒマラヤ杉は知っている」が上演される。
何とか有休を取ってぼくも参加することにした(ギターが好評をいただいたので、さらに劇中音楽として根付かせたい気持ち強し)。登戸研究所はぼくにとって今やライフワークの一つになった。ぼくの中で常に此処から考え、発信する大切な歴史のバトンとなった。

今宵のBGMは、ジョン・レノンの73年発表の「マインド・ゲームス」。最近また一段とリアルにジョンの歌が響いて来ます。比較の対象としてはおかしいかもしれないけれど、最近のデモなんかで鳴らされるサウンドやアジより、ぼくはジョンの声に言葉に耳を傾けたい。世界を変えるために。

BGドリンクはトマトジュースでした。さぁ、19日は大森スペースCで歌い納めフルバンドライブでロケンロール!
スポンサーサイト

[edit]

CM: 0
TB: 0

page top

この記事に対するコメント

page top

コメントの投稿

Secret

page top

トラックバック

トラックバックURL
→http://soulbrothers.blog137.fc2.com/tb.php/961-8e17567c
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

page top

2017-04