周辺暮らしのロケンロール

関東を中心に活動中のごちゃまぜロックバンド、五十嵐正史とソウルブラザーズの公式ブログ

東北記① 

2015/08/31
Mon. 22:28

8月28日、初の東北岩手ライブの初日、予定通り東京駅東北新幹線ホームでギターの森田君と会う。

この日は、奥州市東北本線水沢駅近くにあるおうちカフェMIUMIUさんで森田君と2人でライブ。
1号車最後列の自由席をGETし、座席後ろのスペースをギター置き場に確保していざ東北へ。まだ朝9時台なのに森田君は昼食に買ったはずのシウマイ弁当を早速食べ出す(本人曰く「あると食いたくなる」とのこと)。
ぼくは栗おこわ弁当を開けずに、500mlの缶ビールをチビチビ舐め出す。予想通りまだこの日も口内に痛みはあり、奥歯あたりの歯茎と舌先の口内炎もけっこう痛い。味覚も100%は戻っていないのでビールをまだぐびぐび呑めない。けれど気分は出したいのでビールを買った。
結局痛みに耐えながら栗おこわを何とか食べ、薬を飲んで口内を殺菌消毒して、新花巻駅までの2時間半かけて缶ビール1本をようよう飲み干した。歌は歌えるのだが、MCの滑舌がとにかく不安。この時点では楽しみと不安が半々な気持ちであった。

新花巻駅で今回のぼくらの初東北ライブを企画してくれたSさんと、その友人で宮沢賢治と共に竹内浩三の作品も好きで、今日の水沢での竹内浩三の詩をメインにしたライブを発案してくれたKさんと合流し、Kさんの運転でまずは宮沢賢治ゆかりの地を訪ねる。
これはぼくからの希望で、竹内の詩を歌う前に竹内が憧れ愛してやまなかった宮沢賢治を感じておきたかったのだ。

時間の都合もあり、記念館は周辺の景色だけを楽しみ、高村光太郎の筆による雨ニモマケズの詩碑があり、賢治の人生最大の挑戦だったと思う羅須地人協会跡地に行った。
詩碑が近づくと、車窓から見える景色に見覚えがあり、そこは20年前の夏の終わりに母ちゃんと2人でやはり宮沢賢治の足跡を訪ねた旅で来た場所であることを思い出した。あの時泊まった詩碑すぐ近くの小さな民宿もまだ健在で、案内してくれたKさんによればこの民宿はかなりコアな賢治ファンが宿泊するという。26歳の時のぼく(まだ竹内浩三とは出会っていない)は、その旅でそれこそ地元でしか出版していない賢治研究本を購入して読みふけるほどののめり込みようで、賢治の作品を人生のバイブルのように思っていた。特に教員生活後期から羅須地人協会時代以降の、現実生活をリアルに描いた詩が大好きだった(春と修羅の第二、第三集)。

民宿から詩碑までの道はずい分整備され、賢治作品にちなんだレリーフや詩が刻まれたモニュメントが道路脇にいくつも置かれている。20年前とはずいぶん様変わりした感じを受けるが、眼前に広がる収穫を待つ垂れた稲穂の波はあの時と変わらない。そうだ、ぼくはこの稲穂の光景に心動かされ今もソウブラ秋の定番曲である“実りの秋にうた歌おう”を書いたのだった。
そんな感慨に浸りながら詩碑のある鬱蒼とした木立の中を歩けば、空気が清々として来て身の内から何かが胎動するような感じがして来る。有名な賢治の「下ノ畑ニ居リマス」が書かれた羅須地人協会建物跡に立つ伝言板の先には、眼下に広がる畑と北上川、そして遠くの山々が見える。北上川のほとりに見える今も残る畑が賢治のいわゆる「下ノ畑」。ここに立ちそんな風景を眺めていると、賢治の詩の如く雲から風からエネルギーをもらえるような気がして来る。

詩碑を後にするとそのすぐそばにある桜地人館に寄る。ここも20年前に来ていたはずなのだが記憶があいまいだ。
桜地人館は賢治晩年の主治医であった佐藤隆房氏が、宮沢賢治だけでなく高村光太郎や画家の萬鉄五郎等花巻ゆかりの芸術家たちの作品を展示する、こじんまりとしているけれど実に味わい深い資料館。
そこに展示してあった、宮沢賢治が東京で喀血して倒れるまで書き留めていた「雨ニモマケズ」手帳の複製を眺めていたら、ふと竹内浩三が軍隊生活時に200日以上に渡って毎日書いた筑波日記を思い出した。そして、竹内は宮沢賢治が最後まで自分の思いを書き留めていたこの小さな手帳に影響を受けて、耐え難い軍隊生活の中で自分の思いを、賢治と同じ小さな手帳に鉛筆で書き留めることを思い付いたのではないかと思い至った。
筑波日記の一は、宮沢賢治の詩集をくり抜いてそこに埋め込まれて姉の許に送られたし、筑波日記の二には宮沢賢治の農民芸術概論の一節「世界ぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」が書かれている。竹内はかなり宮沢賢治を意識していたことは間違いない。

そんなことを車中早速SさんとKさんに話しながら、この日のライブ会場であるMIUMIUさんへと向かった。(つづく)
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