周辺暮らしのロケンロール

関東を中心に活動中のごちゃまぜロックバンド、五十嵐正史とソウルブラザーズの公式ブログ

無声映画を観るといつも不思議な感慨にとらわれる。
スクリーンには、何十年も前の戦前の白黒動画が写し出されるが、その動画の説明をする活動写真弁士はまごうことなき現代を生きている人である。この無声映画の基本的上映スタイル(それは永劫変わることはないだろう)の在り方は、考えてみると実におもしろい。
現代を生きる弁士は自分の言葉で書いた説明原稿を読むわけだが、説明される映画はずっと古いまま(当たり前だ)。けれど、無声映画は決して変わることのない映画そのものが、説明する弁士によって違う息吹が吹き込まれ、まったく違う印象を与える。それは落語のような話芸にも通じるけれど、無声映画はやはり映像があってこそで、まさに弁士と映像の両主役でもって成り立っている実に稀有な文化だ。そんな風に思ってしまうからか、普通のいわゆるトーキー映画を観る時と同じようにはいまだに観られない。

21日の両国門天ホールでの無声映画上映会では、戦前のアニメが何と30本以上!も上映され、それを山城秀之さんと山内菜々子さんの新人弁士(と言ってもこのイベント自体2年目を迎え、お二人共なかなか堂々としたもの)が説明したのだが、特に前半の日本の1本1分くらいしかない超短編アニメは、制作技術が稚拙なゆえに?それが弁士の説明によって何ともシュールな味となって、気が付けば声を出して笑っていた。

でもこの日竹内浩三の歌を3曲歌うつもりだったぼくは、後半のお猿の三吉が主人公の戦争モノシリーズを観ている内に、突然この映画を竹内浩三も観たに違いないという確信が湧いた。と言うか「俺もこれ観たよ」という彼の声が聴こえて来た気がした。
映画監督を目指し、学生時代毎日映画を観て暮らし、卒業制作に短編映画も撮った竹内浩三である。このシロクマ(ロシア)を敵国軍に設定した戦意高揚アニメもどこかで観ていた、いや観させられていた可能性は高いだろう。

そんな気持ちになりながら、上映会後半の最初にぼくは竹内浩三詩の「三ツ星さん」「しかられて」「日本が見えない」の3曲を弾き語りで歌った。もうちょっと竹内を丁寧に説明して歌えば良かったと反省したパフォーマンスだったが、この日初めて竹内浩三詩に触れた弁士の山内菜々子さん(日芸卒の彼女は竹内の後輩!)が、終演後に「竹内浩三さんが来ているような気がしました」と言ってくれたのが何ともうれしかった。

そうして竹内浩三をここでも強く感じながら、4本の戦前アメリカ制作のアニメ映画でギターを弾き、山城さんと山内さんと共演した。古いままにそこに在り流れる無声映画の画面を見つめながらギターを弾くのは楽しい。ぼくはこのまだまだ魅力が無尽蔵な無声映画の世界がまた好きになった。こんな転がり落ちて行くような現代だからこそ、無声映画に新たな音を吹き込む作業が好きなのかもしれない。

冷たい雨の両国だったが、帰りは身体が暖かくなっていた。

今宵のBGMはTBSラジオ、“菊地成孔の粋な夜電波”。BGドリンクはトマトジュースでした。さぁ、今日は新大久保アールズコートライブ、朝9:00現地入りなので(泣)とっとと寝ます。ロケンロール!
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