周辺暮らしのロケンロール

関東を中心に活動中のごちゃまぜロックバンド、五十嵐正史とソウルブラザーズの公式ブログ

ロケンロールライフ501 

2014/10/07
Tue. 23:10

台風一過の秋晴れの一日であった。

ぼくの頭の中は、いよいよあと数日に迫ったニューアルバム“ひたぶるにただ 五十嵐正史 竹内浩三を歌う”発売記念ライブのことでいっぱいである。と言いたいところだが、そういうわけにも行かず、相変わらず日々の仕事に追われて、出て来る問題と放っておけない話に頭を占められ、結局疲れて一日を終え愛する我が団地に帰って来る毎日。

ライブの準備はかなり出来たような気がするし、全然出来ていないような気もする。当日配布予定のCDが届くのは10日である。気持ちばかりがあせり、ライブ当日まで閉じこもって竹内浩三全集を読んでいたいのだが、実際は毎晩寝る前に30分読むのが精一杯。竹内浩三の詩に初めて接する人も多いだろう当日観に来てくれるお客さんに、ただ彼の詩にぼくが曲をつけた歌を歌うだけでは甚だ不親切だし、少しでも彼の人となりを感じてもらいながら味わっていただきたい。そのためにいったいどうやって彼の事を説明しながら歌を聴いてもらおうか?思案は続くよどこまでも…。

仕事帰り、大好きな眼前に森の広がる団地の夜道を歩いていると、森全体がリンリンと鈴を鳴らしたように虫の声が聴こえる。それを全身に浴びながら、ぼくは今日一日でぼくの全身にこびり付いたあらゆる澱やらわだかまりやら不全感が洗い落とされたような気になる。

「ただいま」と帰れば、狭い部屋に普通の折り畳み机を並べただけの勉強机に長女と次女が並んで座り、宿題をやっている。
その傍らでお店を広げるかのようにライダー人形を並べて息子が遊んでいる。
娘たちの机は窓に面し、窓の外は団地の通称“草場”と呼ばれる雑草生い茂る原っぱであり、やはりそこからも虫の声。

この季節、晩酌のアテの楽しみは何と言っても銀杏。
そんなアタシを待っていたかのように、同じ団地に住むYさんというお爺さんが、毎年団地の銀杏の実を拾っては干して袋詰めして届けてくれる今年の新物が台所のテーブルに置いてある。
それを20個ばかり茶封筒に入れて、レンジで1分チンしてホクホクの銀杏の実を自然塩を付けていただき、麦とホップ赤をグビリ。「あぁ、忘れよう。忘れられる。今だけは…」なんて思いながら、母ちゃんや子どもたちと他愛もない会話をして笑う一時。

どんどん部屋は手狭になり、子どもたちはこれからますます物入りになる。先行きは相変わらず楽観出来ない。厳しい話ばかりが聞こえて来る。同業他者の信じられない現状やしょっぱい実状も知らされ愕然としたりもする。
いつだって「歌ってる場合か!?」という声がぼくの頭に響いている。それは最初はお袋の声だった。でも今は明らかにもう一人の自分の声だ。

そんなぼくだからこそ竹内浩三に魅かれ、こんなCDまで作ってライブをやることになったのだと思う。
彼こそまったくもって「詩など書いている場合か!?」の極限状態の軍隊生活の中でひたぶる書き続けたのだから。
そもそも書くことに何のアテも無ければ目的もない。本当はそれを問う意味もない。彼はあっさり殺されてしまい、それでも彼の素晴らしい詩は生き残った。ただそれだけだ。

嗚呼、自然に流れるように彼の事を歌い語るライブがしたい。

竹内浩三が、同人誌仲間が戦場死したことを友人から知らされた時に書いたハガキの文面以上に、秋を感じさせる文章をぼくは知らない。

ハガキミタ。
風宮泰生ガ死ンダト。ソウカト思ッタ。胃袋ノアタリヲ、秋風ガナガレタ。気持ガ、カイダルクナッタ。
~中略~
満州デ、秋の雲ノヨウニ、トケテシマッタ。青空二スイコマレテシモウタ。
秋風ガ来タ。
オマエ、カラダヲ大事二シテクレ。
虫ガ、フルヨウダ。
                      
頓首

1944年9月11日 野村一雄あて

このハガキを書いた約7か月後に、竹内自身がフィリピンで戦死してしまう。
ぼくは最後の“虫ガ、フルヨウダ。”を読むたびに新鮮に感動し、泣けそうになる。

BGMはカラワンのスラチャイさんが2010年に出した2枚組CD「ブック・イン・ユア・ネイム」。
大変聴き応えある逸品。ディランの「神が味方」や「ウイ・シャル・オーバー・カム」のカバーも収録!

BGドリンクはトマトジュースでした。ではまた、ロケンロール!
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