周辺暮らしのロケンロール

関東を中心に活動中のごちゃまぜロックバンド、五十嵐正史とソウルブラザーズの公式ブログ

赤子全部ヲオ返シスル 

2014/08/06
Wed. 22:59

竹内浩三CDには、歌だけでなく朗読も収録した。

なんのために
詩 竹内浩三

まだFINなものか もっと書く
おれよりえらいやつは死ね!
どう生きるかがもんだいだ、本当に。こまった、一たいどう生きよう。
一そのこと死にたくなる。死のうか。ナムアミダブツ。
蠅とくらげのケンカ。
ドストエフスキーさん、あんた、オナカいたいのだろ、顔でちゃんとわかる。
なんのために本をよんでるのだと思ったら、本箱を買いたいからだった。とはあきれた。とはあきれた、とはあきれた。
だれがあきれるものか、このうそつきも、お前だってそうだろう。赤面をせい。バカ、センメンキじゃない赤面だ。日本の国ほろびよ。
ゲンコー紙もったいないような気がしてきた。
それに時間ももったいない。
時間がもったいないって、その時間をどう使う気なのさ?ベンキョウするって?
なんのためにさ? えらくなりたいからって? なんのためにさ?
えらくなってどうするのさ?

この何ともほのぼのとしたシュールな詩(さりげなく出てくる「日本の国滅びよ」が大好き)を、長女の茜に朗読してもらった。
最初はギターをバックに付けようと思ったり、ぼくと一緒に朗読してみようと思ったり、森の中で虫の声と共に録音しようと企んだりと紆余曲折を経たが、結局ぼくの部屋でシンプルにマイク収録をした。
シンプルな12歳の娘の声だけの朗読は、親バカだけれど素晴らしい出来で、このアルバムをさらに豊かなものにしてくれた。

よし、これでいよいよ完成と思って昨夜あるぽらんにデモCD-Rも持って行ったが、どうしてもあと一つ付け加えたい竹内浩三の言葉が未練のように頭から離れない。
せっかくの作品だから悔いを残したくないので、今夜急きょ次女の葉生にその言葉を朗読してもらい録音した。

赤子(セキシ)
全部ヲオ返シスル
玉砕 白紙 真水 春ノ水

これは彼が厳しい軍隊生活の中でこっそり手帳に書いていた「筑波日記」(一)の、手帳を逆にした裏表紙の扉に書かれていた言葉。ぼくは初めてこれを読んだ時に飛び込んで来た「赤子 全部ヲオ返しスル」の言葉に、彼の心底からの叫びを聞いた気がした。「望んでもいないのに勝手に赤子(天皇の子)にされた俺は、このクソッタレな国も国柄も徴兵もバカな戦争も全部お前に突きかえしてやるよ!」という叫びとして胸に飛び込んで来たのだった。
これは痛烈で切実で何とも孤独で哀しい非国民宣言だ。抗うことは、抗って生きるということは、絶対に孤独で哀しさを伴う。寂しさの無い抗いなど嘘っぱちだ。

ぼくの弾き語りによるタイトル曲「ひたぶるにただ」が終わった後に、次女(8歳)の飾り気のない無垢な声でこの言葉が朗読されてCDは一たん終わる。そして、また1曲目の「骨のうたう」へと戻って行く。そんな循環し続ける竹内浩三の生涯と遺した詩世界が見えて、ようやくこの作品が完成したと思えた。

広島原爆投下の日、国は核保有を目指して原発再稼働を推進し、連日辺野古で高江で、住民が、豊かな海が森が国に蹂躙されている。そして国が武器輸出緩和で協力を約しているネタニヤフのイスラエルによるパレスチナ人虐殺がガザで続く…。
あまりに無力で非力で哀しく、しかし毅然とした「赤子全部ヲオ返シスル!」という叫びは、現代を生きるぼくら市井の一人一人の上げるべき、突きつけられた叫びではないだろうか?

竹内浩三は死なず。

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