周辺暮らしのロケンロール

関東を中心に活動中のごちゃまぜロックバンド、五十嵐正史とソウルブラザーズの公式ブログ

竹内浩三CDレコーディング開始! 

2014/03/09
Sun. 22:04

スタジオにやって来たソウブラメンバー梅ちゃんの「竹内浩三ってひどい人ですね」の一言から、2014年3月8日記念すべき彼の遺した詩に曲を付けた歌をCD化するという、全世界初の試みはスタートした。

彼女はこの日スタジオに来るまで、竹内浩三の作品を紹介するインターネットサイト(そんなのがあるとは!)を観ていたところ、そこに掲載されていた、彼が日大映画科の学生だった頃三重県に住む親代わりの姉に宛てた仕送りの追加を無心する手紙の文面を読み、そのあまりの図々しさとだらしなさに呆れたという。

それはそうだ。当時まだ東京出たての19歳の若造で、亡くなった両親(伊勢の呉服屋)が遺した財産があるとはいえ、他家へ嫁いで間もない姉に対して買いたいもの(本やレコード)をずらずらと書き並べて、それがいかに自分にとって必要なものであるかもっともらしい理屈を並べ、挙句に映画も勉強のために毎日映画館へ観に行かなければならないと来る。自分は“芸術の子”ですと自称した通りの実践であろうが、これは2014年を生きる若者でも中々出来ない贅沢三昧の暮らしぶりである。しかも、友人から借金まみれであることもいけしゃぁしゃぁと告白する始末。

ぼくが今回彼の作品集を制作して世に問うのは、まさにそんな聖人君子でない、政治に目覚めているわけでもなく宗教的信仰基盤もなく、自身の培った感性と愛する(大衆)文化から得た哲学のみで、人に甘えつつも他者を踏みつけにする社会の仕組みを個人的に嫌悪し、それに対しては命がけで抗おうとした竹内浩三という存在丸ごとである。

さて、そんな彼の詩にぼくが曲を付けた歌全13曲のレコーディングの最初に選んだのは、彼がその戦死後、かつての同人誌仲間によって初めて世に知られるきっかけとなった「骨のうたう」であった。
この詩は、彼を世に初めて知らしめた代表作であると共に、彼をいわゆる“反戦詩人”に仕立ててしまった(閉じ込めてしまった)詩でもある。かく言うぼくも初めて目にしたのがこの詩であり、この詩から受けた強烈な戦争の本質をえぐる「リアルさ」にやられた一人である。なので、レコーディングは最初か最後にしようと悩んでいたのだが、自分の彼の詩を知った追体験の意味も込めて、この詩を最初の扉にしようと考え、結局最初に録ることにした。

今回のCDのサウンドのテーマは、音数を極力少なめに詩を際立たせること。ぼくのソロ名義なので、弾き語りやそれに近いシンプルなサウンドを目指している(フルバンドの曲も1曲入れる予定)。
「骨のうたう」は、ソウブラから森田と梅ちゃんに参加してもらい、歌も演奏もすべて一発録りで行く事にしたのだが、これが予想をはるかに超えて難航した。16年前に曲を付けてライブでも彼の作品中最も歌って来たはずなのに、いざ客の居ない中で作品として残そうとした時に、どのように演奏し歌って良いのか分からなくなってしまった。何度録ってもしっくり行かず、ぼくはこの日スタジオに飾った竹内浩三の写真が表紙の地域誌「伊勢人」を、何度も恨めし気に見つめた。

そんな悪戦苦闘を4時間近く続けて、普段のライブとは違う自分が一番しっくり来る弾き方と歌い方(椅子に座ってギターを指で爪弾きながら、部屋で一人歌うかのように歌う)を見つけ、ようやく完成させることが出来た。
それはまるで竹内浩三からの、このCDを作るにあたっての洗礼を受けたかのような達成感と疲労感であった。この歌を「歌い慣れている」と思い込んでいたぼくは彼のこの詩をちょっとなめていた。あらためてスゴイ詩だ。これほどまでに哀しく美しく、そして惨めで優しく、国というシステムの非情を歌った詩はない。
先日仕事で観た映画「永遠の0」がサクッと言うところの、「死んでも君の所に戻って来ます」なんて陳腐なセリフがどれだけ能天気で非現実であることか!
骨は所詮骨であり、その骨を愛する者も居ない。ところがその骨が勲章をもらったりして崇められたりする。その圧倒的な現実感が実際に歌っていて胸に迫って来た。それは安易に泣くことを許さない、共にイカレタ仕組みの中で生きる人の心に焼き付けられる現実感だ。

シンプルながら勘所をしっかり押さえた森田君の生ギターと、詩に最後まで寄り添う梅ちゃんのコーラスの良さに今日一人でプレイバックを繰り返しながら「独りで録音しないで良かった」としみじみ思った。今までで最高の「骨のうたう」が演奏出来て記録された。

4時間もかかった「骨のうたう」の後に録った「日本が見えない」は、何と30分で基本トラックが完成した。「骨のうたう」が出来たことで、明らかに何かを突破して流れ出したのを感じた実に面白いレコーディングであった。
終了後は、駅前の焼き鳥“西将”で竹内浩三について3人で熱く語り合った。竹内浩三が戦死して69年目の早春に、彼を肴に酒を飲み語ることの不思議さと面白さ、つまり幸せを実感しながら…。

今宵のBGMは、ボブ・ディランDJのインターFMのラジオ番組。今宵のテーマは「ニュー・ヨーク」渋い歌がいっぱい聴けそう。BGドリンクはトマトジュースでした。明日は年に一度の腹部エコー検査でロケンロール?!



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