周辺暮らしのロケンロール

関東を中心に活動中のごちゃまぜロックバンド、五十嵐正史とソウルブラザーズの公式ブログ

ロケンロールライフ433 

2014/02/28
Fri. 22:51

今日は、職場の年一回の恒例行事である映画鑑賞会で、川崎のチネチッタに行って来た。

いつものように通所者の観たい映画にそれぞれ分かれるのだが、今回初めて参加する女性のいる「永遠の0」にぼくは付くことになった。
永遠の0と言えば、今その極右丸出しの暴言が話題の百田尚樹(字合ってるかな?)氏原作の大ヒット映画である。
噂には聞いていたが、まず自腹を切って観ることなど地球が滅亡してもあり得ず、例え50円セールの日でも絶対にGEOでDVDを借りることはないであろう作品なので、こんな風に仕事として観る機会が訪れたのは何とも奇遇ではあるので、どうせならブログのネタにしてやろうと、けっこうじっくり鑑賞させてもらった。

先日の東京新聞の映画ランキングでも、いまだ2位をキープしており(1位は封切られたばかりの「土竜の唄」)その人気の根強さを見せつけているからには、観る前からただのマッチョな特攻賛美映画ではないだろうとは思っていた(これまでのタカ派映画は、良くも悪くもその暑苦しさで端から正体バレバレなものが多く、大方ヒットせずに終わっていたと記憶している)。

さて、その肝心の中身であるが、50代と20代の通所者と共にさすがに平日の昼間、観客は20人居るかどうかの広いシネコン劇場の端っこに陣取っての(トイレ近いから)2時間30分、集中はそれほど切れることなくそれなりにスクリーンに注目して最後まで観れてしまった。

まず観て驚いたのはその出演俳優の豪華さである。主役がジャニーズの男であること、その奥さん役が中々可愛い井上真央であることは知っていたが、亡くなる直前の夏八木勲や橋爪功に山本学あの田中泯までが、元特攻兵役で出演していて(ちょこっとだけ平幹二朗も)しっかり観せる。主人公の孫にあたる現代の若者には、これまた人気らしい三浦春馬を擁して、ある意味万全の役者陣で固めた失敗のしようのない映画であった。
それにCGの凄さは、かつて同じ行事で同じ映画館で観て目が回って気分が悪くなってしまったスパイダーマンより良く出来ているように思えた。

そして、話の筋は主人公である海軍航空隊小隊長でゼロ戦搭乗員宮部の「俺は戦争で死にたくない」という、戦時中には異端で許されなかった心情が軸になって展開して行く。それだけを観ればそれは「戦争では死んではいけない」メッセージにも受け取れ、反戦映画か?と思う人も居るかもしれない。
しかし、観てつくづく分かったが、これはまったく反戦映画ではない。と言うか戦争について一切描いていないと言って良い映画であった。この映画は命を虫けらのように扱う戦争の是非を問わないばかりか(かろうじて田中泯が、特攻という作戦自体を否定するのみ)、戦争に至った経過も悪化して行く戦況を作り出す軍部の狂気も描かなければ、それに騙された民衆も描かない。

ただただ主人公は、愛する妻と子の生活を守るために「死にたくない」と言い続け、時折間違った作戦に冷静な判断を持ってして小さく異議を申し立てる。もちろん小さな異議申し立てすらも命がけであったに違いない当時の軍隊で、主人公の異議申し立ては稀有で貴い行為に見えるが(映画ではそのことにより、腰抜け呼ばわりされていた主人公が部下たちに尊敬されるようになり、命がけで守られる存在となって行く)、あの戦争そのものをバカげたものとは、その異議申し立ては絶妙に描かない。それがこの映画の根本だと言えるだろう。

そして結末は周知の通り、部下たちがどんどん特攻で死に自分だけが生き延びていることに耐えられなくなった主人公が、結局特攻に志願し、その神業的操縦技術でアメリカ空母の度肝を抜き(ここら辺のシーンはかなりクサいタカ派映画丸出しで、尻尾を出した感がある)、最後は笑みを浮かべながら空母に垂直落下して果てる。その姿は「戦争で死にたくない」と悲痛に叫ぶ人間ではなく、明らかに軍神として描かれていた。

しかし、観せる。何だかんだ言って女性に対しては保守的な理想を捨て切れないでいる男連中は、夫の不在を健気に耐え忍ぶ井上真央にはグッと来るだろうし(実はかく言うアタシもちっとグッと来た)、三浦春馬演じる孫のチャらい友人たちが、高級料理のレストランで合コンする席上(そんなヤツ今時居るのか?)、特攻をテロと同一視して「結局洗脳された狂信的な連中だ」と否定すると、それに対し「特攻は無差別テロとは違う!」とキレる三浦春馬はあくまで正義漢であり、現代の個人主義的若者たちは徹頭徹尾チャらく描かれる。そういうところは、けっこう臆面もなく何気にマッチョタカ派丸出しなので、気付く人は気付く映画と言える。

けれどこれは、かなり都知事選で若者を田母神候補に投票させた役割を果たしたのではないだろうか?何ら標榜していないけれど、明らかにその筋のプロパガンダ映画である。
ただここまで巧妙なのは、単純安直な暴言吐きまくりの原作者のイメージとはずいぶん異なる。死の直前まで部下にまで敬語で接した主人公と、自身のツイッタ―などに悪罵を書き連ねる無礼な原作者とは到底結びつかない。
これも映画監督の脚色なのか?そう言えば、この監督があの「三丁目の夕日」の監督と同じだと知り、そのCGの見事さに合点すると共に、それゆえに中身が、結局感情にしか訴えない薄っぺらいものであることにも納得が行った。

それにしてもこの映画、最後のエンドロールでもぼくは驚くと共にその巧妙さに思わず舌を巻きそうになった。
主題歌をサザンオールスターズが歌っているのだ。ぼくは個人的にサザンをほとんど聴いたことがないし好きでもないが、比較的桑田佳祐はリベラルな反戦的意識を持っているミュージシャンというイメージを持っていたのでちょっと意外だった。しかもこの映画を観て号泣して書き下ろした歌だという。う~ん実に実に徹頭徹尾巧妙だけど、全く中身は空っぽで感情だけを動かす映画であった。

安倍政権の春を迎えた日の本では、なんだかみんな(右も左も)焼きが回って来たのかしら?いやいや、こんな時こそ自分が今までやって来たことを淡々と続けるのだ。空中戦など要らん。そんなもの知らん。

今宵のBGMはザ・ウォーターボーイズのフィッシャーマンズBOX。なんと今年フジロックにウォーターボーイズが出演するとの情報が!16年ぶり!?の来日、単独公演熱望!

BG酒はホワイトハイボール、さぁみなさん2日の日曜日は永遠の0など観ないで、阿佐ヶ谷あるぽらんで無声映画ライブを観よう!詳細はスケジュールを観てくだされ!!ロケンロール!

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