周辺暮らしのロケンロール

関東を中心に活動中のごちゃまぜロックバンド、五十嵐正史とソウルブラザーズの公式ブログ

ロケンロールライフ408 

2013/12/13
Fri. 23:29

晩酌後の夢うつつでラジオ番組“ジャム・ザ・ワールド”を聴いていたら、金曜担当のDJであのNHKを抜け出た堀潤氏が、「今日のゲストインタビューは、原発ホワイトアウトを執筆した現役官僚の若杉冽さんです!」と、ソフトな語り口の中に興奮を秘めた声でしゃべるのが耳に入った途端に、ぼくの目はハッキリ覚めた。

実は今ちょうど読んでいる「原発ホワイトアウト」が最終章にかかっているところ。その内容のリアルさに舌を巻きながら、これほどまでにこの国全てを内部告発した小説を未だかつて読んだことはないと驚き感動していたところだったので、その絶対に表に出ることは出来ないはずの著者の肉声が聴けるのかと興奮した(先日、東京新聞紙上でインタビューは読んでいたが)。

果たして都内某所で行われたという録音インタビューは、やはり若杉氏の声はテレビ等で良く目隠しと共に変えられているあの音声にされていた。考えてみればそれはそうだろう、霞が関内でまるで犯人捜しのように人物の特定がされているという状況下で生声で出られるわけがない。

若杉氏はインタビューで、告発本である「原発ホワイトアウト」を書いた動機について率直に、“脱原発を求める民意と政治がかい離している中、原発再稼働、推進の悪だくみが進んでいるのを近くで見聞きしている者として黙っていられないから”と語る。
そして、なぜ小説なのかについては、内部のタレこみ情報では結局裏を取らなければ報道してもらえない事や、その過程で揉み消される恐れがあるけれど、小説という形式ならばより素早く多くの人に知らせることが出来ると考えたと言う。

このことからだけでも、若杉氏がこの国の権力の構造や手口を熟知しており、なかなかしたたかな戦略家でもあることが分かる。けれど、この人を突き動かしたのはこの人個人の内から溢れ出た状況に反対、抵抗する精神であることは間違いない。
でなければ、ハードカバー320ページにも及ぶこの小説をたった2ヶ月で書けるはずはない(しかも、元々小説家でもない人が)。

物語は、今年の夏の参議院選挙後の自民党(小説では保守党)圧勝の時期から始まり、ちょうど現在12月までを描くのだが、登場人物は明らかに実在する誰かを想定しているのが分かり、それはあえて意図的だ。
小説に登場する政治家、電力会社、官僚、脱原発市民運動家達の描き方は克明であるが、やはり政治家、電力会社幹部、官僚を描く筆は冴え、この国がこういう連中の意図で動いていることが、薄々分かっていたことであっても生々しく伝わり、何よりその手口がすべて明かされているのが読んで痛快というより、うすら寒くなって来る。

それに比して、反権力側の描き方はちょっとステレオタイプ的で漫画チックなのが気になるが(小説としては、はっきり言って描写の稚拙な所はある)、それでもこの国の大衆の“軽さ”はちゃんと描いているし、どこか皮肉めいたクールな視点はぼく個人は共感出来るところであった。
殊に、第14章で経産省と電力会社、再稼働推進派議員が結託して脱原発意見を抑え込み、非公開の部会で原発推進に戻すエネルギー基本計画が作られてしまうところでの次の言葉“国の政治は、その国民の民度を超えられない。こうしたことが当たり前のように行われていることを許している国民の民度は、その程度のものなのである”などは、著者の冷徹な憤りが底ににじむ名言であると思う。

聞き手堀潤氏のインタビューも、ソフトな語り口ながら直截であり、それに対して率直に答え続ける若杉氏も声音を変えられているとはいえ、思いの誠実さが伝わって来た。
小説を書いたのは「彼を守るため」でもあったという、柏崎刈羽原発の再稼働に揺れる新潟県知事の事も語っていたが(小説ではスキャンダルをでっち上げられ逮捕されてしまう)、首長であれだけの態度を示すのがいかにこの国では命がけであるか、そしてどんな手を使ってもムラは潰しにかかる事を小説で先回りして書いて世に出し、逆に実際にやりにくくさせる意図があったという。

ラジオに耳をそば立てて聞いたインタビューの最後を、堀潤氏は「若杉さん、どうぞ刺されないよう気を付けて下さい」と、ソフトな語り口そのままでドキッとする言葉で締めくくった。
堀氏曰く、これは一種の業界用語で、告発的な行為に対して権力側から潰しにかかられることを言うそうだが、やけに生々しく耳に残った。
若杉氏は当然秘密保護法にも大いに危機感を持っており、自分のような内部の人間に情報が入らなくなるだけでなく、情報を持つ人間を限定、特定されやすくなってしまうと言っていた。
それでも、小説だけでなく実際の仕事の現場でも悪だくみに組せずくい止めて行くために、これからも出来る限りの事をしたいと語る若杉氏の言葉にぼくは力をもらった。

そしてぼくは何より、この人がSNSやネット上のメディアを活用するのではなく、物量ある書籍としてこのあまりにリアルで予言的な物語を世に出したことに対し喝采を送りたい。
原発ホワイトアウト、ぜひ一読を勧めます。

今宵のBGMは、反タクシン派の運動が続くタイの最高のロックバンド“カラワン”と我が師豊田勇造さん&友部正人さんの共演2本組カセット「タイ全国コンサート・ツアー85 8月」。
会場録音の生々しいサウンドが大好きなライブテープ。30代のカラワンや師匠の演奏がとにかくグルーヴマンチクリンで熱い。
実は先週金曜のマンダラ2で、勇造さんから「これみんなで読んで」とプレゼントされたのが、ちょうど読み出していた原発ホワイトアウトであった。ぼくは師匠との以心伝心がうれしかった。ぼく以外のメンバーで早速回し読みが開始されている。

BG酒はホワイトハイボールでした。休みなしのハードな1週間が終わった。さぁ、明日は久しぶりのソウブラの練習(8月以来!)でスタジオ入りだぁ~!歌いまくってギター弾きまくるぞ~!!

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