周辺暮らしのロケンロール

関東を中心に活動中のごちゃまぜロックバンド、五十嵐正史とソウルブラザーズの公式ブログ

ロケンロールライフ404 

2013/11/28
Thu. 22:53

先日24日、家族で近所にある大好きな美術館「中村正義の美術館」の開館25周年企画“中村正義時の移ろい”展を観て来た。

何度かこのブログでも書いているが、時代と刺し違えた画家と呼ばれ、昨年その52年の生涯を、娘であり美術館館長である倫子さんが辿るドキュメンタリー映画が公開された中村正義さんは、ぼくの(我が家の)大好きな画家であり、冗談抜きで、ぼくはこの人の絵さえ観ていれば他の画家の描いた絵をわざわざ観に行く気が起きないほど、ぼくにとって最高の絵を描いた人なのだ。

今回の企画展は、正義さんが絵を描き出した1940年代から50年代、60年代、70年代と10年毎に時代を区切って代表作を展示するという、初めて美術館に訪れて正義さんの絵に触れる人にも彼の画業の変遷が分かりやすい好企画となっていた。
変遷と一口に言っても、彼の画法の変化は例えるならボブディランがその音楽スタイルを変幻自在に変えるが如くでまさにロック。何べん観ても彼の絵の変化は刺激的かつ面白い。

特に、昨年公開された映画(新百合ヶ丘川崎市アートセンターでアンコール上映決定!)でも大きく取り上げられていた、彼の日展脱退とその後の日展との壮絶な闘い、その権威に対して激しい怒りを持って否定して行く過程で、彼の絵がさらに自由に大胆に、なにより人間味と躍動感溢れたものになって行くのを観るにつけ、一個の人間の表現が持つ力、その強さは権力や時には法をも負かしそれを自在に飛び越えて行くものであると実感させられ勇気付けられる。
殊に現在、また一つ最悪の人喰い法である特定秘密保護法案が茶番の国会で採決されようとしている時だからこそ、なおさらぼくには強く彼の絵が響いて来た。

しかも、ちょうど先日まで日展の派閥による入選枠問題や、権威ある画家の意向に沿った運営方法が新聞等で問題になっていたわけだが、それらはすべて中村正義さんが50年も前にとっくに指摘していた事であり、彼が生前訴え続けた日展の腐った在り方が、その後も結局ここまで維持されて来たことを物語る。
それにしても、昨年正義さんが日展を告発するシーンもふんだんに入った映画が公開された一年後に日展の問題が公にされるというのは、もしかしたら映画の影響も少なからずあったのかしら。
であるならば、死して35年を経て正義さんの告発は日展に風穴を開けたことになる。

そう、個人の闘いとはかくも息長く続くものであると覚悟するべきだろう。
つまり、特定秘密保護法がもし成立したのなら、そこから個人の表現者としての長い闘いが始まるのだ。
法案が政治ショーで法となって行く過程は、これまでも眼が腐るのではないかと思わされるほど、遠くからも間近でも見て来た(これからもきっと死ぬまで見させられるだろう)。そのことを恥じ嘆き演じた政治屋をこき下ろした後は、手前が権威や権力に媚びた言説をこれまで以上に「絶対しない」闘いなのだ。
ぼくの場合で行けば、これまでもそうだったけれど自分の中に一切タブーなど設けずに歌いたいことを書き歌うことを、さらにひたぶるにやって行くのだ。売らんがための歌詞や曲などこれまで以上にクソ喰らえだ。もっともっと暴き出すような歌を、それでいてちゃんと権威やテクノロジー抜きで人間が楽しめる音楽を創って行くのだ。

よみうりランドの外れの森の中にある自宅を改装して、25年前に誕生した小さな個人美術館「中村正義美術館」。
この小さな場所から正義さんの絵は、権威に縛られることなく個で居続け表現発信し続けて行くことを止めずにいる。それはすなわち、館長さんを始めご家族の「表現の自由こそが生み出す芸術」を守り育てる闘いでもあったのだとあらためて思った。
街頭に集まり、その時ばかりの示威行動をするだけが闘いではない。それはあくまで暮らしの中の一部分であり、そもそも暮らし自体が闘いでもあるのだ。これまでもこれからも、特定秘密保護法案が出来ようと出来まいと。

この日館内で観た絵の中でぼくが一番気に入ったのは、確か2階の小部屋に展示されていた冬枯れた木々の絵。
そこには、正義さんが雑木林が大好きであったこと、それもどこにでもあるような身近な雑木林が好きであったと書かれていた。正義さんもまた近所の森を愛する人であったのだ。

今宵のBGMは、ジョン・ハイアットの90年発表の「ストールン・モーメンツ」。
時代に媚びることなく良質のロックを創り歌い続けるまさに代表格のジョン・ハイアット。どこか軽やかな(決して軽薄ではない)ところもまた聴いていて気持ち良い。
これからますます世の中が腐って行く時に、本当に中身のある音楽(ロック)が切実に必要とされるのではないだろうか?

BG酒はホワイトハイボールでした。ではまた、ロケンロール!
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この記事に対するコメント

美術館の建物

こんばんは
美術館,付近の丘陵の森がとてもいいですね。
先日行った時,倫子さんから自宅だった頃と間取りや造りが変わってないとお聞きし,1階の天井の高い居間は「暖房費がかかったろうな」と思いました。
倫子さんや私の世代は,薪ストーブや火鉢,豆炭あんか等を日常に使った最後の世代かと思います。近頃とても赤い炎の暖房の香りや音が懐かしく…マンションでサッシ窓を少しあけて換気しながら火鉢を使ってる友人もいます(^^;)

スズキ #f3g/b1UA | URL | 2013/11/30 22:45 * edit *

ぼくが美術館に行き出した頃(15年前)は、周辺も今より家が少なく畑と雑木林が広がっていて、まるで宝物を発見したような気持ちで、一目でこの美術館の在り方に惚れてしまいました。
年に2回いつも柔らかく迎えてくれる館長さんの笑顔と正義さんの絵。
ぼくの最高のパワースポットです。
ここら辺は里山の名残があって(薪の宝庫だったようです)、良いですよね。

五十嵐正史 #- | URL | 2013/12/01 22:25 * edit *

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