周辺暮らしのロケンロール

関東を中心に活動中のごちゃまぜロックバンド、五十嵐正史とソウルブラザーズの公式ブログ

竹内浩三④ 

2013/07/19
Fri. 23:00

ぼくが初めて竹内浩三の詩集(成星出版の「愚の旗」)を手にしてから3年後の、やはり夏か秋口か、母ちゃんと神田や神保町の本屋街を冷やかしていたら、偶然三省堂だったか大きな本屋で「日本が見えない」というタイトルの、分厚い“竹内浩三全作品集”全1巻を偶然見つけた。
厚手のケース付きの豪華装丁で、全704ページ税込9,240円は、今ではとてもすぐに「買う」決心はつかないが、当時はまだ子供も居なかったので、今よりもボンボン衝動買いをしていた。

この時もぼくはまったく迷うことなく、久々に見た竹内浩三の名前に驚喜してでっかいその全集を買ったのだった。
12年を経て、だいぶ色あせてボロくなったが、この全集は今でもぼくの宝物であり、まだまだページを開く度に竹内浩三について新しい発見をさせてくれるまさに全集らしい全集だ。

初めて手にした「愚の旗」もそうだが、この全集のタイトル「日本が見えない」もかなり刺激的だった。
ケースの表は、当時新たに発見されたばかりの、竹内浩三が日大映画科在学中に使っていたドイツ語読本の余白に書かれていたという「日本が見えない」の自筆稿が写し出されている。

“日本が見えない”
この空気
この音
オレは日本に帰ってきた
帰ってきた
オレの日本に帰ってきた
でも
オレには日本が見えない

空気がサクレツしていた
軍靴がテントウしていた
その時
オレの目の前で大地がわれた
まっ黒なオレの眼槳(がんしょう)が空間に
とびちった
オレは光素(エーテル)を失って
テントウした

日本よ
オレの国よ
オレにはお前が見えない
一体オレは本当に日本に帰ってきているのか
なんにもみえない
オレの日本はなくなった
オレの日本がみえない

この詩は、「骨のうたう」と似て非なる印象を読後に与えた。この詩には諦念や嘆き、つぶやきよりも、叫び、苛立ち、疑念、それらすべてをブッ飛す「リズム」を感じた。これは“ロック”だと思った。
特に2番の冒頭2行「空気がサクレツ」と「軍靴がテントウ」の、どちらもあえてカタカナ表記にしたシュールさ漂う言葉のリズムの爆発はどうだろう!ぼくはこの2行が、ホンと大好きだ。まさにボブディラン的ではないか。

この全集を買って帰り、ぼくはやはりその日のうちにこの「日本が見えない」に曲を付けた(ソウブラのサードアルバム「ハレ」収録)。

ライブの定番曲だったこの歌も、最近ではほとんど歌わなくなっていた。
しかし、この詩はまったく古びないどころか、3.11を経た日本にまたも、いや何度でも問いかけ続ける詩だ。
「骨のうたう」と並んで、これも彼の傑作だと思う。

いよいよ明後日に迫ったLIVE「竹内浩三を歌う」。
ここ数日は彼の遺したハガキや日記を中心に読んでいる。大量に残されたお姉さん宛の手紙は、ホンと笑えて泣けるし、軍隊生活の中で必死に書き続けた「筑波日記」は、現在2冊しか残されていないけれど、親友へのハガキの中で3冊目を書いていることが記されているので、やはり、彼はその死の直前まで、自分自身で詩に書いたように“たまがおれを殺しにきても おれを、詩(うた)をやめはしない 飯盒に、そこ(底)にでも 爪でもって、詩をかきつけよう”としていたに違いない。

竹内浩三は知れば知るほど愛おしくなる男。そして彼の作品を読むと、やっぱり生きていることを思い切り楽しんでやろうという気持ちになる。長生きをしてやろうと思えて来る。
21日、彼に会えるのが楽しみだ。
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