周辺暮らしのロケンロール

関東を中心に活動中のごちゃまぜロックバンド、五十嵐正史とソウルブラザーズの公式ブログ

中学1年生の時にビートルズにハマってから、それまで野球少年だったぼくは、だんだん坊主頭のロック少年となり、中でも当時ラジオで良く流れていたUKのニューウェーヴと呼ばれるグループを好んで聴くようになって行った。

当時愛読していたミュージックライフ誌のレコード評を熟読しては、良さそうなバンドを見つけて小遣いはたいて一か八かでLPを買うのがいつしか最上の喜びとなり、その喜びは今もって変わらない。

そんなぼくが最も心惹かれた、日本では当時無名だったマイク・スコット率いる“ザ・ウォーターボーイズ”のサードLP「ディス・イズ・ザ・シー」を買ったのは高校1年16歳になって間もなくの時、購入したのは忘れもしない放課後一人で寄り道した浦和駅前のCORSOであった。

黒いジャケットの胸ポケットに、うつむき加減で一人の青年が鳥の羽を指しているモノトーンのジャケットは、どこか悲哀を感じさせる儚い美しさで、それは今見ても素晴らしいジャケット写真だ。
そのレコードに針を落とせば、今夜も買った28年前と変わらぬ、分厚くてどこか陰鬱で、それでいて生の躍動と衝動を叩きつけるかのようなサウンドがぼくを掴む。
けれど、何百回と読んだであろうライナーノートは色あせて、ところどころ染みも付いている。
16歳のぼくは、ミュージックライフのライターだった塚越みどりさんが書いたライナーノートの中の「自分の納得いかないアルバムを500万枚売るより、たとえ500枚しか売れなくても本当に自分の好きなものを創りたい」というマイク・スコットの言葉にしびれ、その裏側の日本語訳詞を読みながらレコードを聴き、一人泣いた。

ホール・オブ・ザ・ムーン~涙あふれて~

ぼくは虹を思い描いた
きみは自分の中にしまっておくだけ
ぼくは思いつきで動くのに
きみは計画ばかりたてていた
ぼくは何年間も世界をさすらい歩いた
その間きみはずっと自分の部屋に閉じこもったきり
ぼくが三日月を見ていた時
きみはまんまるな月を見ていた

きみは今にも飛び出さんばかりといった様子で
回転ドアの中にいた
星をつかもうと手を伸ばしていたんだ
うんと高くうんと遠くうんと早く行くことの素晴らしさを
きみはちゃんと知っている
きみはまんまるな月を見ていた

~以下略~

対訳 中川五郎

「ぼくが三日月を見ていた時 君はまんまるな月を見ていた」
この歌詞ほど、思春期のぼくの人生の実感を現している言葉はなかった。ぼくの中にこの歌詞は刻まれ、この歌詞が、自分で自分の思い(抱えていたどうしようもなく“自分には何かが足りない”という不安や劣等感、破壊衝動、飛躍への希求他)を、自分の言葉にして歌を書くための出発点になった。

このアルバムが後年ボーナストラック付の2枚組としてCD化されて(良く中古で悲しいほど安く売られている)、それも買ったけれど、対訳の人は五郎さんから変わっていて、歌の内容もずいぶん変わってしまった(オリジナル詞は変わろうはずがない)。
ぼくの大好きなあの箇所は、「僕が見たのは三日月 そして君が見たのは月の全体 月の全部だった」とされてしまい、果たしてこの対訳で16歳の時読んだら、ぼくはあれほどまでにこの歌詞に惚れこんだであろうか?と疑問に思う。

五郎さんは翻訳家ではなかった。何より素晴らしい詩人だったのだ。
そしてぼくの恩人の一人である。

60年代から歌って来たフォークシンガーとしての五郎さんと、80年代のロックをガンガン訳してロックの洗礼を浴びせてくれた五郎さんが、ぼくの中で初めは繋がらなかったのだけれど、ここ数年の五郎さんのライブシンガーとしての活動に熱いただならぬものを感じ、ついに18日バイユーゲイトで初めてご一緒させてもらえて、五郎さんがかつてぼくに洗礼を浴びせてくれた通りのロックの人であり、歌い続けてきたフォークシンガーであることを思い切り体感させてもらった。
何よりすごいグルーヴを放出しながら、どこまでも歌って行く人であった。うんと高く、うんと遠くへと!

この夜のライブの様子は、バイユーゲイトのマスター有さんが、素敵なブログ(写真もたくさん!)に書いてくれていますので、ぜひぜひそちらをご覧下さい!ぼくから付け足す言葉はありません。と、またまた勝手に紹介してしまいました。有さん、すんません。

次のジョイントライブでは、五郎さんに負けないくらい高く飛んでやるぞ~(笑)。
ご来場いただき、五十嵐の個人的思い入れマンチクリンだったこのライブを見届けてくれたみなさんに、心から大感謝です。ありがとう!

ソウブラ18日バイユーゲイトセットリスト
①古い河
②新しい日々
③さよならバビロン
④反対ロック!
⑤たまゆら
⑥マイ・バック・ペイジス
⑦廃炉!
⑧ライブからライブへ

中川五郎さんとの共演曲
ミスター・ボー・ジャングル
大きな壁も崩れる
BIG SKY
生活の柄

今宵のBGMはもちろん、ザ・ウォーター・ボーイズの85年発表の「ディス・イズ・ザ・シー」をLPで。
BGドリンクはトマトジュースでした。ではまた、ロケンロール!
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この記事に対するコメント

ザ・ウォターボーイズは幾つか教わったけど、かなり前からのバンドなんだね。

気に入ったら2枚買うことに驚いたこともありました。

CDについてる折り紙って言ったっけ?タイトルとか書いてある奴。

その、保存仕方は今は真似しています。

マイク・スコットは今どうしているのだろう?

6月もライブ来てますね。どれか行きたいな~。

波留君はヒトシおじさんのことは解らないだろうな。

五十嵐  仁 #- | URL | 2013/05/21 13:49 * edit *

初共演,おめでとうございます!

40代充実ライブの日々,すばらしいですね。
中川五郎さんのLP1枚,兄貴が持ってました。
作詞の大ヒット曲「受験生ブルース」,やはり兄貴の高石友也LPに入ってて,今も私はそらで歌えます。こんど披露しましょ(笑)

スズキ #f3g/b1UA | URL | 2013/05/22 21:33 * edit *

6月ライブいろいろあるので、どれでもウェルカムです。
まだCDも渡せてないし。

スズキさんの「受験生ブルース」聴きたいような聴きたくないような(笑)。
五郎さんとは次に繋がるライブが出来たので、とっても良かったです。
バイユーも素敵な店です(マスターが実に良い人!)。スズキさんの苦手な地下じゃないので、次回はぜひ!

五十嵐正史 #- | URL | 2013/05/24 00:47 * edit *

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