周辺暮らしのロケンロール

関東を中心に活動中のごちゃまぜロックバンド、五十嵐正史とソウルブラザーズの公式ブログ

昨年末、近所の日本女子大裏の山を、成建という建設会社がひそかに脱法行為をしながら削ってマンション開発をしようとしているのに気付いた地元住民が、自然豊かなこの地域の象徴である山を守るために立ち上がり、工事車両を通らせないなどの監視と座り込みの反対運動をしている所に歌いに行った。

その時は、農家の畑の真ん中で開かれた芋煮会の中で歌ったのだが、住民のみなさんの暮らしを楽しみながらしなやかに戦う姿勢に感動し、里山の風景にも感動してとっても気持ちよく歌えた。
それからはその後の様子が気になって、時々散歩がてら山に登るのだが、先に建設会社が買い取ってしまった一部分の宅地工事だけで食い止められているのを見てホッとしている。

今日は、その時の縁で知り合ったOさんからの依頼で、その同じ山の反対側、よみうりランド前駅近くの津久井道を少し入った所で持ち上がった高層マンション建設に反対する近隣住民の有志主催のバーベキューに呼ばれて、昼前から家族ともども歌いに出かけた。

車のあまり入れない狭い場所なので(なのに強引に200人近くが入居するマンションを建てるという)、団地前からバスに乗って駅前まで行く。近所の茜の友達のMちゃんも一緒に来ることになって子どもらは大はしゃぎ。
そして、相変わらず茜は歌う父が気になりながらも「私は父ちゃんとは関係ありません。父ちゃんの歌は聴きませんから!」と言ったりする。

場所の見当をつけて津久井道を横に入ると、果たしてすぐに白い工事用の簡易壁に囲われた現場が見えた。
土曜日だというのに木などを伐採しているのか、機械音をたてて作業をしている。

バーベキュー会場のIさん宅は、その簡易壁が家の目と鼻の先に迫ったなかなか昭和の雰囲気漂う二階建ての家だった。
その玄関先から工事壁までの細長い私道を開放して、すでに数十人の人が集まり、食材を焼く良い匂いがしている。
早速家の主であるIさん(ご主人が存命だった数年前まで、ここで産科と内科の個人病院を夫婦で続けていたそうだ)と声をかけてくれたOさんに挨拶し、気持ちよい秋晴れの下、子どもらは早速肉と野菜の串焼きや、焼きそば、秋刀魚をいただき旨そうに食う。
父は昨夜あるぽらんで遅くまで飲み、お腹がゆるいので残念ながらあまり食えず・・・トホホ。

そうだ、来年はあまのはらのバーベキューでも秋刀魚焼くの良いかも!

会はOさんが声をかけて参加者それぞれが少しずつリレースピーチをしながら、時折署名に応じたりマンション建設の現状について聞いたりしてゆる~く過ごす。なんだかとっても居心地が良い。

こもれびの森とも呼ばれている山のふもとにあたるこの場所は、周囲は昔からの低層住宅ばかり。集合住宅はせいぜい2階建てアパートで、個人経営のコーヒー豆屋さんやオーガニックピザ屋さんなどの小さな素敵なお店がある。
こんな所に高さ19m、幅69mの6階建てマンションを建てる無粋さに聞けば聞くほど呆れるばかり。
このマンション建設の事業主は、三菱地所レジデンスと東急電鉄。
小田急沿線でなんで東急なのかと思うが、とにかく最近の東急グループの品の無い、風情もなにも残さない根こそぎの開発、建設ラッシュは目に入る度に不快になる(武蔵小杉駅前高層マンション然り、二子玉川然り)。

リレースピーチの合間に、Oさんに促されてぼくのソロライブ。
ワイヤレスのスピーカーシステムと手持ちマイクが一つなので、ギブソンJ45ギターをスピーカーにつないで、マイクは母ちゃんに持ってもらって歌う。見上げる秋の空が気持ちよくて、当然マンションが建設されれば失われる景色であるので、1曲目は急きょカバーの「私の青空」を久しぶりに歌う。
音もこれで十分。気持ちよく響き渡って早速手拍子をいただく。

次に「上を向いて歩こう」でカバー2曲歌った後に、ここでも当然歌いまっせの「廃炉!」を披露。
次女の葉生曰く「お客が“廃炉!”で一番盛り上がってたよ」とのこと。
3曲の予定だったが、思わずアンコールをいただいて「解放の歌」でライブを締めくくった。

ライブ後Oさんが、「お聴きいただいたように彼は自分で歌を作り歌うシンガーソングライターなのです。そして、この地域に住む我々の仲間として、今日は来てくれました!」と言ってくれて、暖かい拍手をもらいながらぼくは感無量であった。
Oさんの父親は、著名なドキュメンタリー映画監督だったそうで(Oさん自体ぼくの親父よりもかなり上だと思うので、ドキュメンタリー映画黎明期の監督であったろうと思われる)、先祖代々の田畑を売って映画制作費を捻出していたというなかなかの人。
だからだろうか、Oさんは“うた歌い”のぼくの立場を尊重してくれる。とてもありがたい。

参加者の中には、地元の市民団体で福島の子どもたちのサマーキャンプを実践したりしている人も来ていて、来年早々のイベントでぜひ「廃炉!」を歌いに来てほしいと依頼される。
また、地元選出で地域の放射線量を定期的に計ってくれている共産党の井口まみ氏からも「「廃炉!」良かったわ。CDにしなさいよ~」なんて言われる(家の母ちゃんとは結構親しい)。

そして、昨年末もそうだったが、こういうイベントにいつも来ていろいろな手伝いをしてくれる知的障害者地域作業所の人たちと、がっちり握手して再会を喜ぶ。

リレースピーチの後半では、この地域の開発反対運動を牽引している若きリーダー(きっとぼくと同年代)H田さんが話す。

H田さんは、今日もずっと裏方で秋刀魚を焼き、終始柔らかい雰囲気を出しながらみんなに振舞ってくれていた。
この日は実は娘さんの運動会であったが、それをすっぽかしてこっちに来たことをまず伝えて笑いを誘いながら(ぼくはいたく共感)、一切住民説明会をやろうとしない建設会社の頭ごなしの常套手段を明快に批判しつつ、それがすべて利益至上主義のなせる業であることを指摘。家庭の幸せを売りにして、その実会社の利益しか考えていない彼らは、その地域に今まであった幸せを壊すことになんのちゅうちょもしない。
それどころか、高層マンションにショッピングモールやらジャンクフードを食わすフードコートなどを造れば、周辺住民にも十分便利さと快適さを売れるとたかをくくっている。
人をなめきったふざけた話だが、原発、米軍基地、自立支援法、みんな共通する現代日本人に沁みついた相当根っこが深い価値観だ。

そしてH田さんは、「決して急いじゃいけない」とも言う。確かに急ぐことと成果主義、利益誘導主義はとても親和性がある価値観だ。結論を急げばそれは早く結果を、つまり成果を求めることに繋がる。
この人はたいした者だ。地に足付けて根っこを張って生きている。同じ地域に住み、この人と出会えたことがうれしい。

缶ビール2本飲んで、予想外のギャラまでいただき、午後2時までゆるゆると続いたバーベキュー会場をみなさんに別れを告げて後にし、帰りもバスに乗って帰る家族とMちゃんとは逆の方向に一人ギターを背負ってぼくは歩き、気持ちが良いので山に入り遊歩道を歩いて団地まで帰ることにした。

落ち葉を踏みしめ豊かな森の中を一人歩いていると、ぼくもまたいつしかこの地にこうして根を張り生活していることを実感する。
自分の住んだ場所をこれほど愛しく感じたことは今までの人生でなかった。
約20年この地域に住み、自分流のやり方で関わり、気が付けば一風変わったシンガーソングライターとして、いろいろ声をかけてもらいながら家族と歌い暮らしている。
ぼくはこの地に骨を埋めることになんのためらいも無い。

川崎市多摩区は実に素敵な街だ。そんなこの街に、傲慢で人の営みを踏みつけにして作るいかなる物も要らない。

今宵のBGMは、ボブ・ディランのブートレグシリーズVOL6「ライブ1964」。
自分が弾き語りのライブをしたせいか、ディランの弾き語りが聴きたくなった。以前はこのハロウィーンライブのゆる~い雰囲気がなんか緊張感なくて嫌だったが、おそらく葉っぱのせいか酔っぱらっているのか、上機嫌に客とコミュニケーション取りながらライブをするディランが新鮮。
それでいて、当時新曲の「イッツ・オールライト・マ」とかしっかり聴かすのだからさすが。
今聴くとこのゆるさがとても心地よい。ぼくの理想のライブかも。

BG酒はトリスハイボールでした。今宵はこれから、借りてきたジョンレノンの少年時代を描いた映画「ノーウェア・ボーイ」をゆっくり観ます。ではまた、ロケンロール!


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