周辺暮らしのロケンロール

関東を中心に活動中のごちゃまぜロックバンド、五十嵐正史とソウルブラザーズの公式ブログ

ロケンロールライフ767 

2017/03/02
Thu. 23:03

昨日の東京新聞朝刊で、相模原殺傷事件を起こした植松被告と東京新聞記者が接見した記事を読んだ。

15分と決められていた時間の中、会話できたのは10分にも満たなかったというその短いやり取りは、何回読んでも不可解さと共にどこまで目を凝らしても見通すことの出来ない人間の心の底暗さを思わせた。
どうやら朝日新聞も同じように接見したようだが、ネットでちょっと読んだそれと、東京新聞記者とのやり取りは微妙に違う感じがした。

植松被告は、接見した東京新聞記者に対してまず丁重な口調で遺族に対するおわび(「私の考えと判断で殺傷し、遺族の皆さまを悲しみと怒りで傷つけてしまったことを心から深くおわび申し上げます」)をし、その言葉にうそ偽りはないということをわざわざ付け加えたと言う。しかし、その丁重なおわびに続けて語った謝罪理由として「重複障害者を育てることが、想像を超えた苦労の連続であることを知っているからです」と淡々と語って机に付きそうなほど頭を下げてしばらく動かなかったとのことだが、ぼくには何度読んでも、重複障害者を育てる苦労を自分が知っているということが、その家族である重複障害者を殺された遺族への謝罪の理由に何一つなっていないとしか思えない。けれど、植松被告がこの完全に矛盾したとうてい通りっこない謝罪理由を微塵も自分で疑っていないことだけは強烈に伝わって来る。

この彼の態度に面食らったであろう記者氏の動揺が伝わるかのような、「遺族の方は許さないと思う」という記者の問い(?)に、植松容疑者は首を傾け1、2分考えて「以上となります」と一方的な打ち切り宣言で応え、さらに食い下がった記者が「亡くなった人にはどう思うのか」と聞くと(朝日新聞記者とはこういうやりとりはなかったような)、髪をかきあげまた少し考えた後で、やはり一方的に「終わらせていただきます」と席を立って頭を下げ、面会室を出て行ったという。読む度にその短いやり取りの様子が目に浮かび、いつしかぼく自身が植松被告に接見している場面を想定してしまうのだ。

とにかく、彼が犯行時から考えを変えていないことだけは良く分かる。あれだけ直接行為としての殺人を犯しながら、命を奪ったそのことよりも、遺族である重複障害者を持つ家族の大変さは良く分かるとよどみなく堂々と新聞記者に語る心性とは何なのだろう?
考えた所で理解出来っこないと、あんな狂人は放っておいてつつがなくなにも無かったかのように戻した日常を過ごせば良いのだろうか?ぼくはすでに、彼は現代社会が生んだ人間であり福祉の現場が彼の歪んだ思想を醸成させ、その実行に至らしめたと書いた。そしてそのことに、この短いけれどどうにも腑に落ちず考え込ませる記事を読んでやはり確信を深めた(ぼくがそんな確信を深めたところで、植松被告の闇の何一つ分かるわけでもないのだが)。

彼が拘留されている間、自分の犯した事件を含めた社会の出来事をどれだけ見聞きしていたのかは分からないが、もし彼が例えば自分が殺した19人の障害者の名前が公表されていないことや、それが全員ではないが家族(取りまとめる施設の家族会)の意向であること。見直しの声が上がって再検討を言われているが、同じ場所に同じような大規模施設を再建し事件前と同じ環境が整備されようとしていることを知っていたとしたら、ぼくは彼が東京新聞記者に対して淡々と語った論理の破たんした謝罪の理由が少し分かるような気がしてくるのだった。彼はおそらく分かっている(つもりでいる)。結局社会は瀕死のハリボテをまたも再建し、自分こそはそれを現実に打ち破ってしまった選ばれた人間なのだと。この社会は、事件の解決を言いながら彼に手を貸し続けている。彼は実はそんなニッポンを心底信頼しているのではなかろうか?ならば、ぼくらはそんなニッポンを潰さなければならない。彼とは真逆の思想とやり方でハリボテを壊さなければならない、と思う。

今宵のBGMは、ボブ・ディランのブートレグシリーズvol.6「ボブ・ディランライブ1964」。毎日トランプのニュースを聴かされたり、世の中の混沌を感じるほどボブ・ディランを聴きたくなる。20代の時からずっとそう。ディランの歌は混沌の中で決して揺るがず利用されない。他人も利用しない。だから信頼出来る。

BGドリンクはトマトジュースでした。ではまた、ロケンロール!
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