周辺暮らしのロケンロール

関東を中心に活動中のごちゃまぜロックバンド、五十嵐正史とソウルブラザーズの公式ブログ

99日目の備忘録 

2011/06/17
Fri. 23:58

今朝は、昨夜遅くまでのろで楽しく飲んだおかげで少し二日酔いで出勤。

ふだん飲まないミネラルウォーターなんぞを手にしていたからか、同僚のK田さんに見抜かれる。
今日は、2人で作業所を回す。と言っても現場はK田さんに任せて、ぼくは事務室で7月初めに出す予定の法人のニュースの巻頭文の執筆。
仲間とNPO法人を立ち上げて5年が過ぎ、年2回発行のニュースも第10号を迎えるので気合が入る。
我ながらなかなかの巻頭文出来上がる。後はいつものように、同僚に「筆禍」をチェックしてもらう作業が残る。

午後は我が作業所オリジナル恒例行事である「温泉&喫茶会」。
池上にある大田区特有の黒湯の天然温泉に入れる銭湯に、男ばかり6人の作業所通所者を引率して行く。
風呂好きのぼくが、体の空いている時はたいてい引率する。

昼間の銭湯はじい様たちのまさにパラダイス。

常連客にはすでに馴染みのぼくらが脱衣所に入ると、「兄ちゃん達、時々来るんだよな」などと、いろいろ話しかけてくる。我が作業所の人たちは、けっこう話し好きの人が多く、じい様たちとなかなかイイ感じで話しながら、むちゃくちゃ熱い黒湯(48℃!)に汗かきうなりながら浸かる。

毎回、昼から風呂に入れるなんて最高の仕事だと思う至福の一時。体から昨夜のアルコール成分も抜けて行く。そもそもは、おっくうで中々風呂に入れない通所者のためのレクという名目で(実際何ヶ月も風呂に入ってない人も居た)、当時まだ新人だったぼくが企画したのだった。

風呂上りは、池上駅前の老舗喫茶店「エノモト」で、K田さん率いる後発隊と合流してみんなで茶話会。ふだん作業所で顔合わせている同士なのに、くだけているせいか、なぜかいつも話が盛り上がる。今日はこれで解散。
ぼくとK田さんは、作業所に戻り残務。

二日酔いだった朝とはうって変わって、風呂上りのイイ気持ちで家路の電車に乗る。
最近通勤時は、堀江邦夫著の「原発労働記」(講談社文庫)を、手に汗かくほど興奮して読んでいる。
この本は元々1979年に「原発ジプシー」というタイトルで出版された。
当時30代だった堀江氏が、原発推進派は意図的に、反対派は実態が分からずに語れない原子力発電所の現場の本当の姿を、自分が自らそこで働くことで克明に記した、ものすごいルポルタージュだ。

78年に美浜原発で働き出したのを皮切りに、堀江氏は福島第一、敦賀原発と渡って働いた。
まだ美浜原発の章しか読んでいないが(文庫で350ページを超えるボリューム)、こんな悲惨な働く現場は絶対にない。これでもかこれでもかと続く劣悪な労働。もちろん、電力会社社員の労働ではない。電力会社から請け負った元請けが、さらに下請けに出し、そのまた下請けが居て・・・というきっと今もさほど変わらないピンハネ構造の中で、実際に原発内部の一番危険な所で働かされ、電力会社社員の何十倍もの人数が被爆している末端の労働者の話だ。

そもそも人が入って作業することを想定せずに作られた原発内部に、重たい防護服を着させられ、適当なマスクと除染だけで人がギリギリ入れるくらいの隙間に入り込み、放射能の汚れを手作業で除去させられる彼ら。当然のように適当に引き上げられる被爆限度量。
働く前に数十分のビデオを見させられるだけの安全教育で、仕事の手順や技術的なことは何も教わらず、何のための仕事かも伝えられず働かせる原発の現場。もし怪我をしたら、電力会社に「ご迷惑をかけました」と謝罪に行くことを強制されるとんでもない原発の現場。14日の東京新聞の「本音のコラム」で、ルポライターの鎌田慧さんが原発内部の労働を「人間には許されない労働」と書いていたが、まさにそうだ。

こんな警世の書が、30年も前に一人の人間の命がけの体験の中から生まれていたとは。
それなのにこの大事故が起きるまで、こんな現場が見過ごされ原発が推進され続けて来たということになんとも言えない悔しさと怒りが湧く。
この本を読んで、そんな思いを抱かない人間など一人も居ないのではないかと思う。そして、今も最悪の最前線で働かされている人たち。

堀江氏は現在60代前半だが、相当体を悪くされて病床にあると言う。
今回の文庫版再発に寄せて一章加筆されていて、それはまさにふりしぼるような祈りの込められた文章だ。
大量の被爆をさせられながら働いた大勢の名も無き労働者たちへの鎮魂と、そんな労働者をもう二度と生んではいけないという叫び。
この原発の現場に目を塞いで口から出て来る「それでも原発推進」の言葉ほど、原発の現場に居る労働者を侮辱するものはないだろうと思う。
夢中で読んでいたら、危うく乗り過ごしそうになって生田駅下車。雨上がりの匂いがした。

自宅に帰っていつものように晩酌をし、子どもらとおしゃべりしながら夕飯。
息子の波留はアトピーがひどく、かきすぎて耳も手も血がにじんで痛々しい。それでも母ちゃんは気丈に、免疫力を高める自然療法を根気強く続ける。最近「トォちゃん」と呼ぶようになった可愛い息子。

いつも以上に仮眠してから、このブログを書いた。明日(18日)はあの震災から100日目。

BGMは、ウォーレン・ジヴォンの2000年発表の「ライフ・キル・ヤ」。「人生がお前を殺す」というなんともハードボイルドなタイトル。ウォーレン・ジヴォンの歌には、そんな人生の皮肉な真実が詰っている。
そして、2003年に大傑作「ザ・ウィンド」を遺して肺ガンで逝ったウォーレン・ジヴォン。
ディランも認めた最高のソングライターの一人だ。

BG酒はトリスハイボールでした。ではまた、ロケンロール!


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