周辺暮らしのロケンロール

関東を中心に活動中のごちゃまぜロックバンド、五十嵐正史とソウルブラザーズの公式ブログ

ロケンロールライフ752 

2017/01/11
Wed. 23:13

先日晩酌をしつつ、夕飯の支度をしている母ちゃんの背中に「今年、俺年男ってことは48になるんだぜ」と話しかければ、振り向き食卓におかずを並べながら母ちゃんが「あなた元気で良かったね」と応える。ぼくは「うむ」と返して麦とホップゴールドをグビリと呑んだのだが、母ちゃんがそんなことを言う理由は十分すぎるほど分かっていた。

昨夜(10日)は、1994年の七夕の日に48歳で亡くなったお袋の誕生日であった。今年の4月で、ぼくはとうとうお袋の死んだ齢に追いつく。まだまだ先だと思っていた48歳は、近付いてみれば実にあっという間に訪れようとしている。あらためて早くに逝ってしまったのだなぁと思い切なくなる。公立高校受験にまさかの失敗をして、祖母に金を借りてぼくを私立高校に入れてくれた40歳の時に最初のガンが見つかり、5年後に再発。それから3年の闘病と緩和ケアの果てに実家の親父が作った電動ベッドの上で、家族全員に見守られながら旅立ったお袋。生きていれば71歳、岡林信康氏と同い年でボブディランより5歳も若い。

48歳を迎えつつあるぼくは、砂利状の胆石とγ-GTPの数値が100ちょっとあること以外特に不調はない。毎年胆石チェックの為に受けているエコー検査でも、とりあえず内臓に腫瘍等の問題は見つかっていないので、何事もなければ48歳を超えることは出来るだろう。母ちゃんはそんなぼくの現状に「良かったね」と言ったのだった。

今日の仕事の帰り、ふとお袋が遺した、自筆を製本した自作の俳句&歌集を久しぶりに読んでみようと思い立った。
晩酌&仮眠後に、早速赤いハードカバーでしっかり製本され金字で「ないしょのはなし」と印字された本(と言っても中身はすべて万年筆による自筆で、3分の1を過ぎた以降の頁は白紙である)を本棚から取り出し開いてみる。実はお袋が別に遺した日記は何度か読んだが(そこにはぼくの子育てに悩むお袋の赤裸々な独白が綴られている)、この俳句&歌集は今までちゃんと読んだことがなかった。なぜだか分からないが、息子として勝手にお袋を不憫に思う気持ちが、青春時代のお袋に対面することを避けたのかもしれない。

表紙裏にマジックで“流れのままに”悦子(お袋の名前)歌・俳句集と書かれているのを見ると、現状に不満や不安を抱きながらも肯定と諦観の境地を求め生きていたお袋の様子が目に浮かび(ぼくはそんなお袋の姿勢が嫌で、とことん世間に反逆して生きてやろうと思った)、やっぱり辛いなぁと思いつつ頁を繰ると、初めて知ったのだが、これは昭和38年から親父と結婚し新婚旅行に行った昭和43年2月までに書き溜めていた短歌と俳句を、遡って記録したものであった。時折センスのある自筆のイラストも添えられ、数えてはいないけれどおそらく400首はある。直接聞いたことはなかったけれど、書かれているのはほとんどが短歌で、石川啄木からの影響とどれだけ啄木の短歌を好きかということも綴られている。ゆえに、ほとんどが率直な心情と苦悩の吐露であり、それがお袋の目に映った風景と溶け合い胸を打つ。良い歌を書くじゃないかお袋。

そして読み進めて行くと最後の方に、メモ書きで「美装社社員会」とあるのを見つけた。これは、お袋が結婚直前まで勤めていた製本会社の名前ではないか?そして、この俳句・歌集の製本もそこでやってもらったのではないか?そう思い、ダメもとでネットで調べてみると、なんと美装社は今も大田区久が原に在った!ずっと鵜の木だとばかり思い込んでいたので意外であったが、創業が1955年であり主に学術本の製本をやっている会社のようだ。HPを観てみれば会社概要のところにお袋の本と同じ色と金字の製本例写真を見つけて、ここに間違いないと確信した。昔ながらの製本技術で現在も続けている老舗の雰囲気マンチクリンの会社だ。お袋は久が原で働いていたのだ。ちなみにぼくの働く施設の所在地は南久が原である。もしかしたら、お袋は鵜の木駅で降りて歩いて通勤していたのかもしれない(歩いておそらく15分~20分だろう)。

48歳になる年に、お袋と新たに出会った気になっている。つくづく人は死んで終わりではない。こうしてお袋の息吹を感じ、見た事のない若きお袋が青春を生きる姿がまざまざと目に浮かぶ。それは、お袋が生きていた時には全く感じることが出来ず出会えなかったお袋だ。人は死んで終わりではない。

うぶ声と ともに生れし我が心 世に建つならば正しくあらん  
(1966年4月16日 市川悦子)

近々職場から歩いて訪ねてみよう。

今宵のBGMは、スティーヴ・アールの91年発表のライブアルバム。今宵はスティーヴ・アールのぶっきらぼうな泣きのメロディーが沁みる。

BGドリンクはトマトジュースでした。ではまた、ロケンロール!

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この記事に対するコメント

いい歌ですね!

初産の心境を正に表した、生き生きしたイイ歌ですね!
初声とともに生まれしわが心〜共感します‼︎☆
下の句は、しっかり生きようという決意かしら?と読みました(*^^*)

スズキ #f3g/b1UA | URL | 2017/01/12 07:21 * edit *

スズキさんありがとうございます。これから時折このブログでお袋の歌とコラボしようと思います。この歳になって初めてちゃんとお袋の書いたものを読み、新鮮に感じ感動している自分に驚いています。
この歌はぼくが生れる3年前に書かれているので、たぶん出産の気持ちではないと思うのですが、お袋の生きる決意はすごく感じますね。

五十嵐正史 #- | URL | 2017/01/12 23:04 * edit *

素晴らしい。

キムラ #z4VZuMD6 | URL | 2017/01/14 02:04 * edit *

キムラさんありがとうございます!

五十嵐正史 #- | URL | 2017/01/14 10:56 * edit *

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