周辺暮らしのロケンロール

関東を中心に活動中のごちゃまぜロックバンド、五十嵐正史とソウルブラザーズの公式ブログ

ロケンロールライフ738 

2016/12/01
Thu. 23:20

仕事の合間に、年末に出す法人ニュースの原稿を書くための資料として神奈川県のHPからプリントアウトした「津久井やまゆり園事件検証報告書」を読む。

前回法人ニュース夏号を書いた時はまだ事件前で、特集は法人設立10周年を記念して同志Sママとの楽しかった対談を載せたのだが、ニュース完成直後に相模原事件が起き、9月にHPに声明文を書いてUPし、共同通信社の記者の目に留まり一部が地方紙に載って…と、この半年近く実に目まぐるしかった。文章だけでなく、ぼくはこの事件に対する最首悟氏の「命は命でしかない」という言葉と出会い、その言葉に導かれるようにして“命でしかないビート”という歌も作り、ソウルブラザーズで今年後期のライブで欠かさず歌っている。相模原事件はかくもぼくに影響を及ぼし、ぼくに思考を止めさせない。

今年最後の法人ニュースにも、当然の如くぼくはこの事件について原稿を書き出した。誰に頼まれたわけでもない。なのに、なぜか躊躇することなく書くことが自明のことであるかのように書き出し、暗中模索の中に入り込んでいる。まったくもって楽しい作業ではない。けれど、この事件はこの国の他のあらゆる問題の解決法と同じように、表面だけを取り繕って終わらせられようとしているとしか思えない。障害者自立支援法を、この国の福祉を殺す天下の悪法と断じて拒否し続けた自分の心性と同じところで、この事件についても、ぼくは「そうではない」と言い続けようとしている。

津久井やまゆり園事件検証委員会(委員長は石渡和美氏)が、9月からの7回の委員会を経て作成された報告書は、東京新聞の報道(26日付川崎版)などでは、報告書の内容が事件が起きた施設に対して厳しいものになっているとして、事件を未然に防ぐことの難しさと、警察や県との日頃の連携を取ることの困難さへの同情が同業者から寄せられていた。そして、私の所の様な零細施設にまで事件後警察から指導が入ったように(一度話だけ聞いて具体的指導は体よく断り受けなかった)、福祉施設の防犯対策強化の必要性で締められている。

新聞報道にあるように、39ページに及ぶ報告書は施設側の対応のまずさを確かに指摘してはいるが(県への報告遅滞や警察の指導により導入した防犯カメラの設置が、あくまで抑止力的なもので実用度が低かったこと等)、津久井やまゆり園を運営していた指定管理団体であるかながわ共同会の施設運営のあり方については、ほとんどスルーしている。
最低賃金で雇った非常勤職員を中心に夜勤体制を敷いていたこと(これは報告書には書かれていない)、ぼくは入所施設で働いた経験がないので相対的な指摘が出来ないのだが、全8棟あった入居施設に各棟20名近い重度障害者が暮らしていて、夜勤時に職員が各棟1名ずつしか居ないというのはあまりに少ないのではないかと思う。報告書では「社会福祉施設における体制としては一定以上の水準であった」として評価している。それはあくまで現行の「法」には則っているという話であって社会福祉施設における体制として本当に十分であったのか?自立支援法以降、一定以上の職員数基準は周到に非常勤でもカウント出来るようになっている。報告書には、侵入した植松容疑者と廊下で遭遇した夜勤職員が、植松容疑者を利用者が廊下に出たものと勘違いしてスルーしたことも書かれている。これもにわかに信じ難い話だが報告書で特に問題視されていない。その夜勤職員は、最賃の時給907円で雇われたばかりの非常勤職員ではなかったのか?

この報告書もまた、事件直後に全国手をつなぐ育成会が出した声明文と同様、この事件の要因を社会福祉の、ひいては我々の「内」ではなく、「外」にあるものと規定するためのアリバイ作りに思えてならない。
それにしても、検証委員会の委員長である石渡和美氏は、JD(日本障害者協議会)にも関わっているはずだが、御用学者のような仕事ぶりと言わざるを得ない。何よりもなぜこの検証委員会に、やまゆり園で36年働き指定管理制度導入に反対し離職された太田顕氏のような人が入っていないのか?

それでもこの報告書はかなり読みごたえがある。植松容疑者がやまゆり園で働くようになった経過から事件発生まで、詳細に調査され生々しいやりとりの経緯は読んでいて息苦しさを覚えるほど(事件当日の入居者に手をかけた犯行の様子について詳細されていないことには、正直ホッとしてしまった)。
それゆえに、この報告書もぼくはこの国の社会福祉のあり方の根本を問う資料にしなければ意味がないと、性懲りも無く末筆をふるう気マンチクリンなのであった。たとえ蟷螂の斧にすぎなくても、それをふるっていたいと思う(目取真俊氏の言葉より)。

今宵のBGMは、豊田勇造師匠の超名盤「さぁ、もういっぺん」。秋ライブで共演させてもらった時、あまり良く歌えなかった「東へ西へ」をあらためて聴く。
明日はマンダラ2で勇造師匠のライブ、翌3日は国立谷保のかけこみ亭で知念良吉師匠のライブに行く。師走に2大師匠のライブを浴びる幸せよ、泣くなぁきっと。

BGドリンクはトマトジュースでした。ではまた、ロケンロール!
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