周辺暮らしのロケンロール

関東を中心に活動中のごちゃまぜロックバンド、五十嵐正史とソウルブラザーズの公式ブログ

ロケンロールライフ722 

2016/10/14
Fri. 23:27

先日、ぼくの働く施設の利用者が突然「ここに移ろうと思うんだけど」と言い、パンフレットを見せられた。

それは、渋谷駅からわずか1分のビルに今年の4月に出来た障害者就労以降支援事業所のものであった。
とてもカラフルでまるで生命保険会社のようなパンフレットを見ると、ここを利用すればいかに簡単に楽しく技能を身に着け就職出来るかが書いてあり、私が日常悪戦苦闘しているような人間対人間、精神対精神の生々しいやり取りの微塵も感じさせない(まずパンフレットにそんなこと書きはしないが)。パリッとしたスタッフが実にサクサクッと対応してくれるイメージを抱かせる。

しかし、就労以降支援事業所は2年と言う利用期限があり、基本的にそれまでに就労を実現させなければいけないというなかなかにハードルが高く、それゆえにか利用者1人当たりの事業所側に入る報酬単価も大きい事業である(当然、自立支援法により新たに制定された事業)。それが、そこでは週1日からスタート出来ると謳っており、ぼくの所のような別に就労を目指しても目指さなくても良い通所ノルマの無い日中活動の場と同じ設定なのに驚いた。と同時に、2年で就労出来なきゃそこで終わりで、どんどん利用者を入れ替えて行くシステムを想起させた。

そこに行きたいと言う人は、毎日のように通所して来るが幻聴妄想が強いようで、1日中独り言や独り笑い、独り泣きをしている。それでもずっと事務職で就労することが夢で、突然休んだかと思うとハローワークなどで就活をしては、やんわり断られてまたぼくの施設に通って来る。就労するためにはどうしてもクリアしなければならないハードルがあることを、何度かその人に伝えるが、1分としないうちにあちらの世界に行ってしまうのでなかなか会話にならない。
そして、今回はその渋谷駅近事業所のパンフレットを親がもらって来て、本人に勧めたそうなのだ。
本人はもう明日からでもそこに行きたいような雰囲気で、ぼくは少々困りながらちょっと時間をもらってその事業所のことを調べることにした。と言うのも、事業所名はパンフレットに大きく書いてあるが経営団体のことがまったく書いていなかったからだ。普通ぼくらでも法人名は分かり易く明記する。あえて書いていないような感じがどうも怪しく思えたのだ。

PCでそこのHPを観てもやはり経営主体が書かれていない。しからばと、東京都に事業指定されているはずなのでそこから調べると某株式会社と社長名があった。その社名に何となく聞き覚えがあるような気がしたので、さらにその会社名で調べると、何とその社長は元ライブドアの取締役をやっていた人物であり、かつて顧客情報の流用で追及を受けていた。ライブドア関連会社がいつの間に障害者福祉に参入していたのだと驚いたが、まぁ昨今ではあり得ない話ではないのであった。
相模原市の少々不便な所に巨大な障害者入居施設が造られた時代と比べ、渋谷駅近の小洒落た場所に障害者の通所事業所が出来るのは良い事なのかもしれない。しかし、そこが福祉の理念の欠片もない「ビジネス」だけで成り立っているとしたら、見かけの社会参加、障害者の就労実績は上がるかもしれないが早晩破綻を来す(その前に彼らはサクッとビジネス替えするだろうが)だろうとぼくは思う。

なんてこったと思いつつも、ぼくは我が施設利用者に「ここを利用したい気持ちがあるのなら別にかまわない。ただ、慌てて決めずに良く考えてほしい。体験させてもらえるとあるので、体験もしたら良い。ここで今やっている事とここの内容とを確認して主治医や相談出来る他の人の意見も聞いてみると良い」と話し、ぼくの施設利用では必要のない障害支援区分認定や利用計画策定義務のことなどを説明した。何度かあちらの世界に行っては戻って来てをしつつも、いつもよりもずいぶん話を聞いてもらえた気がした。

今週に入り、その人が来なくなったら何か寂しくなるなぁと思いつつしていると、体験に行く予定の日もいつも通りこちらにやって来るので、「○○さん、渋谷の方の体験行かないの?」と聞いてみると、「うん、あそこはやめた。ここがあるからいい」ときっぱりと答えた。ぼくはちょっとうれしくなって「そうか、じゃあもうちょっとここで一緒にやろう」と言うと、その人はぼくを見て頷いた。

利用者募集の営業活動も一切せず、パンフレットは手製の地味な代物。大言壮語は一切書いてない。建物はどんどんボロくなり壁紙剥がれ床の絨毯も染みだらけ、就労にも技能訓練にも作業にも何にも特化せず色々無理せずやって場として在る。障害者自立支援法がタガを外して元ライブドアも参入して来る福祉業界で、時々とてもやって行けそうにないと思う。と言うかそんな業界でやりたくない。だから、とりあえず朽ち果てるに任せてこうして在り続けるだけ在り続けようとしている。この素晴らしくない世界で。

今日、神奈川県に「ともに生きる社会かながわ憲章」(仮称)に対する意見を送った。要はそんなもん出す前にやることあるだろ!的な内容である。

今宵のBGMは、ボブ・ディランの63年発表の大名作2ndアルバム「フリー・ホィーリン」。
ノーベル文学賞受賞でNHKなんかもニュースの度に「ボブ・ディランさんが…」と今日はうるさかった。そして取ってつけたような“反体制”“プロテストシンガー”“時代の代弁者”等の常套句のオンパレード。ったく…。
ボブ・ディランはとにもかくにも「自分で在り続ける」ことの大切さを教えてくれた人。体制が、時代が、政治が、そんなの関係なく手前の今歌いたいテーマ(それが時に時代と寝ることもあるだろう)を手前の言葉で(引用多いけど)歌い続けているそれだけの人だ。だから凄いのだ。一つの焼き直しもないのだから。

BG酒はトリスクラシックハイボールでした。では、明日は国分寺gieeで、都良祐さん、ピラコさん、ソウブラの3マンライブでロケンロール!
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