周辺暮らしのロケンロール

関東を中心に活動中のごちゃまぜロックバンド、五十嵐正史とソウルブラザーズの公式ブログ

ロケンロールライフ699 

2016/08/15
Mon. 23:36

数ヶ月かけて、市川雷蔵主演の映画「陸軍中野学校」全5シリーズを観た。

1966年に製作されたこのシリーズは、実在したスパイ養成機関である陸軍中野学校(戦後資料や学校跡などほとんど残されていない)の第一期卒業生である主人公が、主に日本と中国を舞台にスパイ戦を繰り広げると言う、日本版007を狙ったものらしいが、その趣は白黒の画面と主人公市川雷蔵の感情を抑えまくった演技と抑揚のないナレーションによって真逆である。
最終5作品目の最後が、真珠湾攻撃で終わるというのもその後の破滅を予感させて何とも暗い気持ちにさせる。内容は特に深くない。政治性もメッセージ性も薄い。戦争に対しての問題提起もない。しかし、敵方である(多くが米英と結託した中国人)スパイはひたすら祖国の日帝支配からの独立の為に命がけで諜報活動をし、それを暴く主人公スパイ名椎名次郎もただ上官の命のままに、感情を殺し価値判断を挟まず任務を遂行する。そんな映画を5作も観るとさすがにげんなりとしながらも、不思議なリアリティーを感じさせるようになった。ああ、これもまた戦争の実態ではなかったかと思えて来た。

しかし、ぼくがこのシリーズを全部観ようと決めたのは、ぼくの記憶では5作品の内3作品にぼくと母ちゃんが現在朗読劇に参加している登戸研究所が出て来たからだ。
明治大学内の登戸研究所資料館で、陸軍中野学校と登戸研究所との密接な関係を知っていたので「もしや」と思って映画を観たら、主人公が上官(演じるのは加東大介)から託される小型兵器が必ず「登戸研究所で造られたものだ」と説明されて登場していたのだ。それはライター式の小型カメラであったり、小型拳銃であったり、相手に気付かれない毒薬であったり…実際資料館の展示で観たようなものばかりであった(偽札は出て来なかったと思う)。
1966年と言えば、戦後まだ20年ちょっとしか経っていない。戦時中登戸研究所で働いていた人たちもまだ多くが存命であったはずで、その人たちが口止めされていた自分たちの担っていた仕事について語り出すのは80年代半ば以降である。
この陸軍中野学校という映画が封切られ、それなりの話題を呼び(現にかなりの人気シリーズであったらしい)映画の中で、登戸研究所で開発された武器が登場していたことについて、関係者たちはどんな風に感じていたのだろうとぼくは考えてしまう。驚いたのは、すでに映画で登場するくらい登戸研究所のことは知っている人は知っているかなり周知の事実であったということだ。

戦争における秘密戦の重要な役割を担っていた登戸研究所は、中途半端に知られていてその役割の本質とやっていたことの全てが明らかになるまで(実際いまだ解明作業中でもある)、この映画から20年を待たなければならなかった。
それからさらに資料館が遺されるまでに至り、現在日本の加害者としての戦争を伝える希少な場所として警鐘を鳴らし続けていることを思うと、尽力して来た市井の人たちの思いと行動にぼくは感動する。現天皇の「お言葉」や「慰霊行脚」に敬意を表するよりも、この場所のために真実を伝えるために行動した人たちをこそぼくは心から尊敬する。それほどまでに、71年前までの天皇制国家の蛮行は許し難く、誰がやったのか主語をあいまいにしたままの「慰霊」などではとうてい済まされるものではない。
天皇に敬意を表する暇があったら、もっと天皇制国家が正義と平和の為に行った凶行を直視するべきだろう(それは相模原事件の植松容疑者の凶行と通じるかもしれない)。登戸研究所が最後に行き着くはずだったのが本土最終決戦。この最高に愚かで国民をすべて見殺しにしても守ろうとした国体(天皇制)の是非をこそ、まずは考えなければならないはずだろう。

スパイ映画「陸軍中野学校」から、ここまで来たことに現代を生きる人間として小さな希望を見る。朗読劇もぼくのライフワークだ。

今宵のBGMは、ザ・スミスの87年発表のラストアルバム「ストレンジウェイズ・ヒア・ウイ・カム」。スミスの中でぼくが一番好きなアルバム。大宮の駅ビルのレコード屋で買って18歳の時毎晩聴いていた。モリッシー9月に来日するらしいけれど、チケットが12000円!無理だ~(涙)。

BG酒はトリスクラシックハイボール。明日は長女と友達のMちゃんとまえだ君に贈ってもらったお揃いのユニホーム着て、神宮球場にヤクルト戦を観に行きます。台風来ないで~ロケンロール!
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