周辺暮らしのロケンロール

関東を中心に活動中のごちゃまぜロックバンド、五十嵐正史とソウルブラザーズの公式ブログ

ロケンロールライフ656 

2016/03/14
Mon. 23:25

2011年3月11日は、ぼくの働く作業所の利用者であったAさん(享年60歳)が、東急線沿線のH公園の池に入水自殺した日だ。

あの日地震が収まった後、手分けして電車で帰れない利用者を作業所に待機させたり渋滞の中車で家まで送ったりしている中、不通であった電話が突如鳴ったのだ。それは警察からの直通電話であった。
Aさんは地震を知らずに旅立っていた。前日の深夜から未明にかけて一人公園内に入り、弁天様の祀られる池に入ったらしい。

震災の前の年の夏あたりから妄想がひどくなり、毎晩のように一人暮らしのアパートから警察に「襲われる」と通報するようになった。向精神薬は飲んでもあまり効かず、そのうち大量服薬もするようになり(ぼくの知る限りこれまで3度の自殺未遂をしていた)、ぼくは入院することを勧めたが、それで良くなると本人は思えなかったのか「食事が合わない」とかいろいろ理由をつけてなかなか首を縦に振らなかった。それでもいよいよ警察からも注意され、5、6回目くらいの説得でやっと承諾してくれて、ぼくが付添い京王線沿線の病院に入院した。

所在の分かる唯一の肉親である姉は病気で自由には動けず、着替えや必要な洗面道具などはぼくが彼女のアパートに行って持ち出し、病院に面会がてら届けた。年下の異性ではあるが、その時で17、8年の付き合いであったぼくのことは、他に頼める人も無いこともあってか嫌がらずに生活の実態を見せ頼ってくれた(以前、ホームヘルパーも入れていたが「気を遣うから嫌だ」と言って辞めてしまった)。

約3ヶ月の入院生活で、苦しめられていた妄想はだいぶ落ち着き、退院の時もやはりぼくが病院に迎えに行って元のアパートに戻り、作業所にもこれまで通り通い出した。
それから3月11日まで、時折調子悪いこともあったが、以前のように警察を呼んだりぼくに妄想を現実であると訴えることはなくなったので、ぼくはてっきり良くなった(少なくとも以前よりは)と思い込んでいた。
最後に会ったのは3月9日の水曜日、いつものように作業所に来て夕方帰る時にいつも彼女がそうするように、たいてい事務所の中に居るぼくにわざわざ声をかけ、ぼくの顔を見て「さようなら」と言った。彼女はそういう人だった。

翌日の10日の木曜日はもともと彼女はお休みで(確か通院だったか?)、そして11日を迎えた。
おそらく彼女は退院後も、入院前と変わらず苦しかったのだと思う。しかし、ぼくに言ったところでまた入院を説得されるだけで苦しみが消えるわけではない。何より入院することはもう絶対嫌だったのだろう。警察に助けももう呼ばず、独りで全部抱えて、まるでそれをすべて水中に沈める重石にしたかのように入水した。

都内で産まれ暮らし続けた彼女の思い出話を良く聞いたが、死ぬ直前までの彼女の暮らしは生活保護の古いイメージそのものの、テレビも風呂も無い古い4畳半のアパートで夏でも人目が気になるのか窓を閉め切って暮らす過酷な環境だった。東京の都会暮らしの華やかさなんて一かけらもなかった。ぼくは元々都会(東京)暮らしをそんなに良いモノだと思っていない。田舎暮らしも知っているし都会にもだえるほど憧れたこともある。ソウブラを結成した知多半島だってなかなかの田舎だった。しかし、Aさんの暮らしていた東京の街はあまりに人が多過ぎて、なのに世知辛く決定的に寛容さに欠ける街だった。それは彼女の受援力の問題なのだろうか?

2011年3月11日に、誰に知られることも無く、憧れる人がまだ居ると言う大都会東京の片隅で孤独に逝ったAさん。毎年この日が来る度にぼくは思い出しては悲しくなり、何に対してか知らぬが「バカヤロー!」と吠えたくなる。

今宵のBGMは、21日にゲスト出演させていただく北海道在住のシンガーソングファーマーの宇井ひろしさんのデモCD。
昨年初めてお会いして共演させていただき、その人柄と歌の素晴らしさに大感動したので再会が待ち遠しい。
宇井さんの歌は北海道での農暮らしから生まれる大自然に根差した暮らしの歌。その歌は優しく寛容さと包容力に満ちている(それでいて曲がカッコイイ!)。その暮らしへの確信は、都会暮らしのぼくらを励まし「この都会を耕して生きよ」と肩を叩いてくれる。そんな宇井さんからいただいたメッセージから、ぼくは「この素晴らしくない世界で」という歌を書いた。感謝の気持ちを込めて今年の共演ライブで歌いたい。
このブログを書きながら、宇井さんの名曲「さいごのシマフクロウ」を聴いていたら泣けてきた。
3月21日(月)西荻窪の信愛書店での宇井ひろしさんのライブ(詳細はライブスケジュールコーナーで)、ぜひお運び下さい!ソウブラとの共演もあるかも!です。

BGドリンクは生田の水道水でした。ではまた、ロケンロール!
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