周辺暮らしのロケンロール

関東を中心に活動中のごちゃまぜロックバンド、五十嵐正史とソウルブラザーズの公式ブログ

ロケンロールライフ316 

2013/02/28
Thu. 22:37

今日は暖かったせいか、昨日より少し四十肩の具合が良かった。

昨日は夕方くらいから腕がしびれ出して、通勤用の肩掛け布カバンの紐が肩に当たるのも辛いほどだった。
さすがにブログを打つ気力もなく、フェイスブックをチェックしていたら、ぼくの近況にコメントを寄せて下さったMさん(敬愛するギタリストでもあります)がシェアしたリンクにあった「私は原発反対運動家ではありません。‐原発がどんなものか知ってほしい(全)」を見つけて、じっくり読んだ。

それは、原子炉製造メーカーの一つである日立(その他は東芝、三菱)で、20年間原発内部の配管工事を仕切る現場監督として働き、自らも多量の被爆をしガンに倒れた平井憲夫という一元技術者の手記だった。

かなり長い文章だが、まずタイトルの「私は原発反対運動家ではありません」という言葉に筆者のスタンスと信念が伝わって来る。
読めば直に分かるが、平井氏は実際の原発を知らず外側から観念的に原発に反対する運動家との違いを表明することで、文字通り原子炉内部の構造から現場の様子までを熟知する者にしか分からぬ視点を明確にして、原発を告発しているのだ。

実は、この文自体は1996年に書かれており、当然福島原発事故以前のものだが(平井氏は97年に亡くなっている)、その内容は事故を予見していたどころか、実際に3.11以前にもたくさんの危機的事故がすでに起こっていたことと、大量の放射性物質が垂れ流されていた事実が具体的に書かれている(この時すでに「日本近海で取れる魚は海の放射能汚染によりもう安全ではない」と書いている)。

ぼくは驚愕しながら、この15年以上前に書かれた文を読み進めるうちに、ふとこの人の書いたものをかつて読んだ記憶がよみがえって来た。それは、90年代に我が家で購読していた「名前のない新聞」というタブロイド判の新聞記事だった。
確かもんじゅのナトリウム漏れ事故や、フランスによるムルロア諸島での核実験の頃で、ぼくが今も歌っている「実りの秋にうた歌おう」を書いたり「核が味方」という歌を書いて歌っていた時分だ。

覚えていた部分は、事故を起こしたもんじゅは日立、東芝、三菱、富士電機などのメーカー寄せ集めで造られた高速増殖炉であり、かつて平井氏が、それぞれの会社で造った配管がどうしても合わない事態が起こってもんじゅに呼ばれた時に、各社における配管の寸法の0.5ミリ単位を、切り上げるか切り下げるかの違いが微妙なズレを引き起こしていたことを突き止めた話だ。

これを読んだ20代のぼくは、「原発はこんないい加減な造りなのか!」と母ちゃんと驚き怒ったのだったが、その時の原発に対する思いは、それからの日々の雑事の中で次第に薄れて行き、3.11が起きるまでほとんど封印されてしまっていた。

この話以外にもこの手記には、当然物質として劣化して行く配管の現実や、過酷な被爆現場ゆえに高度な職人的技術が発揮出来ず、欠陥工事にならざるを得ない原子炉内部のリアルな話など、堀江邦夫氏の「原発労働記」の末端労働者の視点にもなかった、原発の機械としての構造的な問題が実にリアルに書かれている。

ぼくも親父が工場でずっと働いてきたので、多少機械を造る現場の雰囲気は知っているし、実際工場で働いてもいたので、その正確な部分も多少テキトーな部分も見て来た。原発は、原子炉は、その普通の製造現場以上にテキトーにならざるを得ない代物であることだけでも、そしてそのことで多くの命を奪い差別を生み出したことでも、絶対に造るべきものではなかったと今さらながらに思う。

「今さら」本当にそうだ。“廃炉!”を書いた時にも思ったし、3.11以降、急ににわか原発通になったつもりで語る自分にも恥ずかしさと共に「今さら」を思った。

さらに平井氏は、原発は廃炉になど出来ないし、解体することなども出来ない。出来るのは閉鎖して監視、管理することしか出来ないと喝破する。それを読みぼくはぐうの音も出ない。その正確な技術としての話に、まったくその通りだと思い知らされる。

1996年にここまで見通し、根拠を示していた人の言葉を、福島原発事故後を生きるぼくがあらためて読んで唸る。
何とも言えない気分になるが、読んで良かったと思った。もう決して日々の雑事にかまけても記憶の彼方にやるまいと思った。そしてそれでも、それだからこそ、この平井氏の言葉を噛みしめて「廃炉!」を歌って行こうと思う。

ぜひ一読をお勧めします。

BGMは、ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズの78年発表の「カヤ」。優しく愛に満ちた大好きなアルバム。
ボーナストラックの“スマイル・ジャマイカ”は、伝記映画を観た後だけに泣ける。

BG酒はホワイトハイボールでした。ではまた、ロケンロール!
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2013-02